植物名 | クチナシ |
ラテン名 | Gardenia jasminoides Ellis |
種苗および品種 | 樹型,花型,花の大きさなどの違いによる品種があるが,薬用には一重咲きの結実する品種が用いられる.
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繁殖 | 実生,挿し木,株分け,取り木の方法があるが,挿し木が最も実用的である.実生法では,形質のばらつき,育苗の繁雑さ,初期生育の遅れなどが考慮される.株分け,取り木では作業の繁雑さ,個体数確保の困難さが件う.挿し木は適温であれば周年可能である.通常,本年枝が充実した初夏~初秋が良好である.古枝の部分では発根が遅れたり不良である.挿し穂は2節以上で10 cm前後が良く,葉の大きなものは葉先の1/3~1/2を切除し,下部のものは除去する.挿し穂は数時間水揚げした後,案内棒で穴を空けた挿し床に1/3程度挿す.3週間~1ヵ月で発根する.
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栽培適性 | 冬季も温暖な地域に適している.停滞水や過度の乾燥による生育への影響が大きいため,耕土が深く有機質に富み,排水・保水が良好で肥沃な土壌が適している.
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播種,定植および育苗 | 春挿しでは当年の夏,夏以降の挿し木では翌年の春に苗圃に移植する.苗圃には十分堆肥を入れ深耕しておき,株間約15 cm に植え付ける.株間には乾燥防止のため敷き藁を施す.秋までに数回追肥する.西南暖地では1年目の秋でも定植が可能であるが,その他の地域では2年目の春が望ましい.株間・条間は将来の生育や管理・収穫作業を考慮し,1×1m以上が望ましい.植え穴は直径・深さいずれも40 cm 以上とし,十分な堆肥と少量の緩効性肥料を混入する.植え付け後は,乾燥防止のため敷き藁をする.栄養繁殖の個体では結実性を高めるため,別系統の個体を混植すると効果的である.
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肥料 | |
管理 | 整枝は過繁茂の場合や適期以外の場合(花芽形成は夏),着花不良の原因となるため通風や採光を図る程度とする.
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病害虫駆除 | 害虫ではオオスカシパ(Cephonodes Hylas Linne)の幼虫による食害があリ,終令幼虫となると1日で相当の被害が生じる.カメノコロウムシ(Ceroplastes japonicus Green),ツノロウムシ(Ceroplastes pseudoceriferus Green)等のカイガラムシ類の寄生と,それに伴うすす病がある.そのほかオンシツコナジラミ(Trialeurodus vaporarioum Westwood)の寄生がみられることがある.
重篤な病害はそれほどないが以下のものが知られている.
・褐色円星病(病原菌:Phyllosticta gardeniicola Sawada):夏発生し,周囲とは明確に区切られた明褐色の円斑で,病葉は黄化し,後落葉する.
・さび病(病原菌:Uredo gardeniae floribundae Hiratsuka): 初期は淡黄色の円斑を表面に生じ,後裏面に橙色~黄色の粉状の夏胞子堆が形成される.
・すす病(病原菌:Balladyna velutina Hohnel):カイガラムシ類の寄生により,副次的に発生する.
・灰色かび病(病原菌:Botrytis cinerae Persoon):葉と花に発生し,最終的には病斑部に灰色~淡褐色のかびが生する.
・斑点病(病原菌: Phaeosphaerella gardeniae Hara)
・徽量要素の欠乏症として,鉄,マンガンによる黄化症を生じやすい.
・果実の熟期に,ヒヨドリ(Hypsipetes amaurotis),ツグミ類(Turdus spp.)などの鳥類による食害を被ることがある.
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収穫・調製 | 晩秋,果実が紅熟し軟化する前の黄変した時期に採集する.採集した果実は,果柄・がく裂片を除去し,自然乾燥するか,あるいは軽く蒸すか,または湯通しした後,乾燥する.
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収量 | 生育環境により収穫差が大きい.15年生で10a当たり乾燥重量で150~300 kgの収量がある.
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参考情報(生物活性) | |
参考情報(生物活性)ファイル | |
特性分類表 | |
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栽培暦 | |
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栽培方法関連データ |
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栽培方法関連写真データ |
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種子発芽情報データ |
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備考 | |
備考ファイル | |