薬用植物総合情報データベース

植物体栽培及び植物の効率的生産法

植物名ホッカイトウキ
ラテン名Angelica acutiloba var. sugiyamae Hikino
種苗および品種オオブカトウキ及びホッカイトウキの2品種がある.
繁殖種子を用いる.
栽培適性気候はやや冷涼な地域に適する.土質は耕土が深くてやや膨軟な埴壌土が適している.地下水位の高いところでは,十分生育しないので,排水のよい土地が望ましい.火山灰質のような軽い土壌では細根が多くなり,反対に,粘土質の重い土壌では根の生育が劣る.
播種,定植および育苗苗床への播種法は,短ざく播きと条播きの2通りがある.短ざく播きは,畦幅100~120cmとし,畦の長さは適当な短ざく形の床を作り,3.3㎡当り1dLの割合で播種する.播種法はできるだけ厚薄のないよう散播した後,薄く覆土して,その上に麦わらまたはもみがらのようなもので日覆いをしておく.20日間くらいで発芽する.発芽後は密生しているところを間引き,時々除草する程度でよい.肥料が多く,大苗になったものは,定植後すぐに抽苔するため不適当である. 播種期は,本州では3月中・下旬より4月中旬までがよく,北海道では4月下旬から5月下旬までの間が適期である.本圃10aに対して必要な種子量は約5dLである. 本圃への定植は,春植えと秋植えの方法があるが,秋植えは抽苔しやすい傾向にあるので春植えがよい.春植えは,播種の翌春できるだけ早いほうがよく,北海道以外では4月上旬までさしつかえない.畦幅は50~60cmとし,株間は20~25cmとする.植え付けの方法は,条を深めに切り,あらかじめ選別した苗を1本ずつ条の中に寝かせて,足で苗の中間まで踏みつけると根頭部が上向きになり,地上に出ないように注意して両側から静かに土をかける.トウキの栽培には苗の選別が大切である.苗は,大苗,中苗及び小苗に区分される.万年筆より太い大苗は抽苔しやすく,一方細すぎる小苗は収量が少ない.苗選別の基準は,根頭部の直径が0.8cm以下の中苗を選び,それ以上のものは極力避けるようにする. オオブカトウキの場合は大苗はいわゆる芽くり苗として植え付ける方法があるが,相当技術を要するので,よく経験し熟練したうえで実施する方が安全である.芽くりとは定植した大苗が6月頃抽苔しないように,定植前に竹ベラ様のもので株の芽の中心をえぐり取る方法である.芽くりした苗を覆土して10日くらいおくと,えぐり取った外の部分から小さい芽が4~5個出てくる.小苗は2本苗といい,2本ずつ定植する.
肥料
管理中耕除草は苗の活着後,数回行う.
病害虫駆除病害には露菌病,菌核病が発生することがある.8月頃,葉裏に肉眼でようやく認められる程度の白,灰,淡紫等のかびが生じ,葉の表面が黄ばんでくるのが露菌病で,放置しておくと伝染し,生育が阻害される. 害虫にはハダニ,シンクイムシ,アブラムシ,ヨトウムシ,キアゲハの幼虫がみられる.
収穫・調製茎葉が黄変し始めた頃(北海道では10月上・中旬,奈良県では11月上旬から2月下旬),晴天の日に掘り採り,地上に並べて2~3日干し,土をたたき落として,5~6本ずつ茎葉の部分を合わせ小束にしハサ掛け乾燥する.八分どおり乾燥した頃おろして一旦温湯に入れ,小根が柔らかくなった頃,土を落としながら根の形を整える.再度乾燥した後,茎葉を切り落として,茎葉や土砂が混入しないように,丁寧に揃えて荷作りをする.北海道では掘り採り後,ハサ掛け乾燥し,水分含量が18~20%になった頃ハサからおろし,茎葉を除いた後,火力で仕上げ乾燥し,磨き機で土砂や夾雑物を除いて仕上げる.
収量ホッカイトウキの収量は,240~300kg.
参考情報(生物活性)
参考情報(生物活性)ファイル
特性分類表 
表題
画像、ファイル
備考
栽培暦 
表題
画像、ファイル
備考
栽培方法関連データ 
栽培方法関連写真データ 
表題オオブカトウキの種子
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解説

表題オオブカトウキの芽くり
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解説

表題オオブカトウキの生育盛期
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解説

表題オオブカトウキの花
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解説

表題収穫物の乾燥(ハサ掛け)
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解説

表題収穫物の調整(湯もみ)
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解説

表題生薬
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解説
種子発芽情報データ 
備考
備考ファイル