表題 | |
画像、ファイル | |
備考 |
植物体栽培及び植物の効率的生産法
植物名 | センキュウ |
ラテン名 | Cnidium officinale Makino |
種苗および品種 | 在来種のみが栽培されている. |
繁殖 | 種イモを用いる. |
栽培適性 | 夏期冷涼な地方が適している.夏に高温,多湿が続くと草勢が弱り,病虫害が多発して減収の原因となる.また,秋の気温低下とともに根茎が急激に肥大する特性を持つので,温暖地では地上部の生育ばかり旺盛で根の生育が悪い.このような意味から,わが国では北海道,東北地方が栽培適地とされている. 適地ではさらに,収穫時期から乾燥期間にかけて晴天と弱風の多いことが望ましい.収穫物から種イモを作り,秋植えするので,秋雨が多いと収穫,植え付けとも非常に困難をきたす.また,日照が少なく湿度が高いと自然乾燥,火力乾燥を問わず乾燥に手間がかかり,品質の劣化や経費の増加をきたす. |
播種,定植および育苗 | 植え付け時期には春植えと秋植えがあるが,春植えは萌芽,生育とも遅れ,ひいては減収をきたすので,通常は秋植えする.植え付けは,大規模経営の場合はポテトプランターを使用するが,手植えをして頂芽を上向きに植えることが望ましい.頂芽が横向きあるいは下向きになるとソロバン根の発生率が高くなり,減収や品質劣化の原因となるためである. 覆土は8 cm以上にすると萌芽が遅れ,ソロバン根が増えるので, 5 cm程度とする.ただし,春の萌芽期に種イモが露出していると萌芽しなかったり,遅れたりするので,そのような場合は再度覆土してやると良い. |
肥料 | |
管理 | 栽植密度は高くすると多収を示すが,1株当りの根茎重は小さくなる.一方,低くすると1株当りの根茎重は大きくなり,子イモ数もやや増加するが,収量は低下する.大型トラクターによる植え付け管理をする地域では従来,畦幅60 cm, 株間25 cm, 10 a当り約6,700株植えを標準としてきたが,栽植密度試験の結果では畦幅40~50 cm, 株間16 cm, 10a当り12,500~15,600株植えで最多収が得られている. ただし,この位の密植になると根茎が小さくなり,種イモが取れないので,別に6,000株前後の粗植にした採種圃を設けると良い.従来は収穫株から種イモを取っているが,新たに採種圃を設ける利点は二つある.一つは,根茎が大きいので充実した種イモを高率で得られること,二つには収穫期と植え付け時期の幅が広がることである.なお,現在北海道北見地方においては,トラクターによる機械植えを実施しており,その機械の設定可能な植え幅を考慮し, 10 a当り8,000~9,000株植えで栽培が行われている.また,収穫後その中の一部を種イモにあてている. |
病害虫駆除 | 病害にはべ卜病,葉枯病,黒斑病,黒色根腐病などがある.ベト病は6月頃から葉身部に発生し,9月頃まで続く.多少にかかわらず,発生すると収量に影響を与えるので必ず防除を行うこと.初期の防除にはあまり効果がなく,地上部の生育が旺盛な時期の効果が大きい. 黒色根腐病(Phoma属)は種イモの腐敗する病害で,栽培地においては普遍的に発生する.発生は前作物との関連は見られず,乾燥地で発生しやすい傾向を持つ.防除法としては健全な種イモを用いるのが一番であるが,種イモの消毒も効果が大きい. 虫害ではハダエ,タネバエ,ウリハムシモドキ,キアゲハの幼虫などの被害が大きい. |
収穫・調製 | 根茎乾物重は地上部が黄変ないし枯死するまで増加を続ける.しかし,収獲物から種イモを取って植え付けたり,収獲物を調製したりしなければならないので,時期はその土地の気候条件によって決定する. (1)大規模調製の場合 地上部をフォレージチョッパーで刈り取り,ポテトデガーで掘り上げる.収穫した地下部は調製工場に運び,そこで調製する.調製行程は流れ作業になっており,地下部はベルトコンベアーで運ばれながら水洗され,土砂,夾雑物が除かれる.ついでカッター部において数片に切断され,それから金網製円筒部に入ってブラッシングをかけながら再び水洗される(ブラッシングとカットの順番が逆の場合もある).なお,水洗の不十分なものは還流して再び水洗から始める. 水洗の終ったものは水切り後,直ちに熱処理して乾燥する.熱処理は「湯通し」といって熱湯にて10分前後煮沸する方法であるが,最近,蒸気でむしたほうが熱が均一に伝わり,のり化か全体に進むということで,蒸気を利用しているところもある. (2)小規模調製の場合 地上部を付けたままポテトデガーあるいは手作業で掘り取り,土砂を落とし,株を2~4個に縦割りして湯通しするか,そのまま乾燥する. 湯通しの方法は様々な工夫を凝らして行われているが,原則的には地下部を熱湯にて煮沸し,芯まで熱が通ったら(60~80°,15~20分)湯から引き上げてハサ掛けする.ハサは立木あるいはハサ木を東西に立て,間隔25 cmにして8ないし10番線を張る.この番線に湯通しの終わった株を地下部を南側に,地上部を北側に向けて掛ける.乾燥したらハサからおろした後,茎葉を除去し,磨きをかけて仕上げる. |
収量 | 730~800 kg である. |
参考情報(生物活性) | |
参考情報(生物活性)ファイル | |
特性分類表 | |
栽培暦 | |
栽培方法関連データ | |
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栽培方法関連写真データ | |
種子発芽情報データ | |
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備考 | |
備考ファイル |