薬用植物総合情報データベース

植物体栽培及び植物の効率的生産法

植物名カラスビシャク
ラテン名Pinellia ternata Breitenb.
種苗および品種特定の栽培種や品種はなく,各地の在来種を用いる.
繁殖塊茎,むかご,種子で繁殖し,繁殖力は極めて旺盛である. 塊茎,むかご,種子のうち,塊茎を用いる方法が最も実用的である.  種子繁殖:夏から秋に採取した種子を湿潤な細かな砂の中に入れ,5℃程度の低温下で貯蔵しておき,翌年春に播種し,種塊茎を育成する.  むかご繁殖:葉柄に形成された成熟したむかごを採取し,条間10~15cm,株間6~9cm間隔に植え付け,種塊茎を育成する. 種子及びむかごは繁殖力が強く,自然落下し増殖するため,それらを集めて種塊茎にすることができる.
栽培適性気候に対する適応性は広いが,温暖で湿潤な気候を好む.土壌への適応性も広いが,肥沃で排水が良く,乾燥する土地よりも湿り気を保つ湿潤な土地が良い.
播種,定植および育苗10月または翌春3月中旬~4月中旬,1個生重1~2gの塊茎を植え付ける.密植ほど収量が高くなる.植え付け例として,幅90~100cmの短冊状の植床に15×10cmの間隔で,芽を上向きにして塊茎を植え付ける.あるいは,うね幅60~80cm,条間15~20cmの2条で,株間6~8cmに植え付ける.10a当たりの植え付け量は50~60kgを要する.覆土は5~10cmとする.
肥料
管理適宜除草を行う.梅雨時は圃場に水がたまることのないように排水に留意する.夏季の乾燥防止及び害虫防除のため,植え付け後,透過率(90%)の高い資材を用いてトンネル被覆を行うのがよい.
病害虫駆除スズメノガ(セスジスズメ及びベニスズメ)の幼虫による地上部の食害が多いため,捕殺等防除に努める.
収穫・調製8月下旬~9月下旬,葉が黄色味を帯び始めた頃に収穫を開始する.形状の良さと塊茎の剝皮が容易なことから早めの収穫が望ましい.収穫は鍬やスコップで地下部を浮かしてから塊茎を拾い集める.収穫時期が遅くなると剝皮が困難になる. 収穫後塊茎を篩にかけ,生重2g程度を基準として大塊茎と小塊茎に分け,大塊茎は生薬調整用に,小塊茎は種苗用にと選別する.収穫後は速やかに剝皮作業を行う. カラスビシャクは繁殖力が旺盛で雑草化しやすいため,後作を変える場合には,収穫時にできるだけ塊茎を残さないように収穫する.また,湛水化できる条件下では,圃場に水を張ることにより繁殖を抑えることができる. 調整法は塊茎をイモを洗う要領で剝皮した後,1%の酢酸水溶液中に4~6時間浸した後,流水でよく洗浄し陽乾する.従来,収穫後の塊茎を1~2日間食塩水(NaCl 30g / 1.8L)に浸して内部に浸透させた後,表皮を取り除き,再び一昼夜流水に浸して水洗いし,日干しでさらしながら乾燥する方法で行われていたが,この方法では,塩抜きが十分にされていないと生薬中の灰分含量が高くなることや内外面が白色で糊性のものができない場合がある. 乾燥は陽乾または30~40℃の低温温風で行い,約1週間を要する.腐ったものや皮の残っているものは除去する. 生薬として,内外面ともに白色で,粉状を呈し,質が充実したものがよい.
収量10a当たりの乾燥塊茎収量は100~150kg(生重2g /個 以上)である.
参考情報(生物活性)
参考情報(生物活性)ファイル
特性分類表 
表題
画像、ファイル
備考
栽培暦 
表題
画像、ファイル
備考
栽培方法関連データ 
栽培方法関連写真データ 
表題カラスビシャクの全草
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解説

表題カラスビシャクの種子(液果)
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解説

表題萌芽(4月)
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解説

表題実生(種子繁殖)1年生
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解説

表題生育盛期(4月下旬)
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解説

表題生育盛期(5月中旬)
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解説

表題カラスビシャクの花(伊豆在来種)
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解説

表題カラスビシャクの花(北薬試名寄系)
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解説

表題収穫物(伊豆在来種)
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解説

表題収穫物(北薬試名寄系)
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解説

表題生薬(市場品)
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解説
種子発芽情報データ 
備考
備考ファイル