薬用植物総合情報データベース

植物体栽培及び植物の効率的生産法

植物名ハトムギ
ラテン名Coix lacryma-jobi L. var. ma-yuen Stapf
種苗および品種北のはと(2007年登録、以下同)、はとろまん(2013年)(以上、医薬基盤研究所育成品種)、とりいずみ(2013年)、はときらら(2013年)、あきしずく(2010年)、はとゆたか(2007年)等の品種がある。
繁殖種子を用いる。
栽培適性温暖な気候に適するが、北のはとやオホーツク1号など、寒冷地でも生育する品種がある。 乾燥が厳しい砂質土壌より、水田等湿潤な粘土質土壌に適する。
播種,定植および育苗直播栽培と移植栽培があるが、機械化の普及により、畑地(乾田)直播栽培が主体である。 種子消毒:葉枯病、黒穂病対策として、冷水温湯浸法を行う。浸漬中、沈下した種子を用いる。冷水温湯浸法は冷水に6~7時間予浸した後50℃の温湯に1分間、さらに53~54℃の温湯に5分間浸し、直ちに冷水にもどして冷却する。また湯温60℃で1時間の処理でも効果が見られる。 直播栽培:播種は日平均気温15℃(4月下旬~5月下旬)頃に行う。条間60~75 cm に条播し、発芽揃い後に株間20 cm に間引く。または、1株2~3粒を20 cm間隔に点播する。10 a当り播種量は2.5~3.0 kgである。栽植密度は10 a当り岡山種で8,000株、中里種で12,000株程度とする。  種実収量は密植ほど多くなるが、密植では草丈が高くなり、葉枯病が発生しやすい。一方、粗植栽培では1株当り粒数が多くなるものの、株数の減少により収量は低い。また、茎葉重の増加と株間が広いため、強風により倒伏が起こりやすい。100粒重は粗植で小さくなる傾向が見られる。 移植栽培:育苗は水稲用育苗箱を用いる場合、1箱当り200~250 g を播種する。 10 a当り12~15箱、3~4 kgの種子が必要である。育苗期間は4月中旬播種で20~25日、5月中旬播種では10~15日(いずれも葉令1.5~2.0葉の稚苗)で移植する。育苗土には窒素肥料を施用しない。畑育苗では1㎡当り100~150 g を播種し、育苗期間は15~25日、2~3葉苗を移植する。 移植:移植時期は5月中旬~6月上旬。機械植え、手植えとも植え付け深度は3 cm程度とし、深植えにならないように注意する。栽植密度は機械植えでは条間60 cm、株間20 cm程度とする。なお、潅水のできない畑地では、植傷みが激しいため移植は困難で、実用的ではない。
肥料
管理播種後、生育初期はとくに雑草防除に務める。
病害虫駆除葉枯病は幼苗期に葉鞘及び本葉先端部に褐色の病斑を形成させる病害で、被害の激しい場合には、中茎部から黒褐色に変わり枯死する。出葉に伴って病斑は上位葉へ移行する。栄養生長期の病斑は茶色を帯びた紡錘形をなし、被害程度は軽微であるが、生殖生長期以降、病斑は著しく進行し、葉身を脱水化し、急速に白変枯死する。生育後期ほど症状は激しくなるため、種実の登熟が大きく妨げられる。  葉枯病の耕種的防除法として①無病種子を用いる②発病が見られた圃場での連作はさける③種子消毒を行う④生育後期の窒素施用による軽減化⑤圃場の排水を図ることなどがあげられる。  黒穂病は種子から伝染し、穂に発病する。種子消毒によりほぼ完全に防除できるので、温湯浸法を徹底する。その他、無病種子を用い、発病が見られたときは速やかに取り除く。  虫害にはダイメイチュウ、アワノメイガなどのメイチュウ類がある。
収穫・調製バインダー、コンバイン刈りの場合には、穀実が60~70%程度成熟して茶褐色になった頃に収穫する。成熟が進むと作業中の衝撃により脱粒が多くなる。手刈りの場合にはさらに遅くとも良い。  刈り取り後、数日株上で天日乾燥を行い、その後脱穀を行うと容易にできる。収穫時に穀実に緑色が残っているものは天日乾燥中に褐色を帯びてくる。脱穀後さらに天日あるいは機械乾燥を行う。  乾燥機を利用する場合、1日くらい常温通風乾燥した後、35°以下で加温通風乾燥を行う。乾燥後は風選を行い、不稔粒を除く。ヨクイ二ンとするためには苞鞘(殼)を取り除き、精白する。
収量10 a当たり穀実乾燥収量は200〜400 kg である。
参考情報(生物活性)
参考情報(生物活性)ファイル
特性分類表 
栽培暦 
栽培方法関連データ 
栽培方法関連写真データ 
種子発芽情報データ 
備考
備考ファイル