薬用植物総合情報データベース

植物体栽培及び植物の効率的生産法

植物名クコ
ラテン名Lycium chinense Mill.
種苗および品種国内自生種を用いる.あるいは韓国のクコ在来品種及び中国のナガバクコ栽培種を用いる.
繁殖実生,挿し木,取り木,株分け法がある.実生法は変異の多い集団から採種すると品質がばらつくため,優良株からの挿し木と取り木が最もよく利用される.優良株の条件としては,果実が大きい,果肉が厚い,種子が少ない,果色が紅色,質が柔軟なもの,さらには耐病,耐虫性があり,収量性の高いものが良い. 挿し木:盛夏と冬期を除きいつでも可能であるが,3~6月の春と9~10月の秋が最も適期である.新梢枝を用い,太さは鉛筆大がよく,挿し穂の長さは15 cm 位にする.高さ30 cm, 幅120 cm の床に12 cm 四方間隔で,挿し穂を10cm程度地中に挿す. 取り木:挿し木の困難な7~8月に行う.枝を地中にもぐらせ発根させる.約1週間で発根する. 株分け::10月末頃,株を分割して行う. 実生:雑種1代の能力を利用する場合や品種改良の手段として利用するのが良い. 株の更新はクコでは6~7年をめどに行う.ナガバクコは変異が多く,挿し木繁殖させるのが理想的であるが,発根率が悪く,通常は実生で繁殖する.クコは通常挿し木にて繁殖する.
栽培適性果実生産を目的とする場合,肥沃地では茎葉が過繁茂となり果実のつきが悪くなることがあるため,肥沃地の必要はない.土壌は特に選ばないが,砂質及び粘土質の強い所は避け,また地下水位の低い所が良い. 中国西北,華北のナガバクコ栽培地における年平均気温は5.6~12.6°Cと比較的冷涼である.
播種,定植および育苗 晩秋または春先に行う.クコでは条間120 cm, 株間40 cm, ナガバクコでは条間300 cm, 株間150 cm を基準とする.
肥料
管理剪定:クコでは旧年枝からの結果枝の発生が少ないため,毎年地際から地上部を切除する.作業は冬から春先の萌芽前までに行う.ナガパクコでは2年枝に多く着果するため,強度の剪定は行わず,樹形を整えるためや徒長枝を除く程度とする.クコでは過繁茂を防ぐため,茎の長さが90cmになった5月中旬頃に先端を10~15 cm 切除する(摘芯).7月中旬に2回目を行う.
病害虫駆除病虫害の発生は極めて多い.主要なものは以下のとおり.  病害   炭そ病:開花中の7月中~下旬の発病が最も多い.果梗に発病し,開花以降幼果,熟果に移行し,黒褐色の小斑点を生じる.病状が進むと落果する.   ウドンコ病:発病初期,茎葉上に白色小形斑点を生じ,蔓延後には全体が白色を呈す.甚だしいときには黄変し,落葉する.  虫害   ミバエの一種(Neoceratitis sp.):幼虫による果肉の食害.被害果実は成熟時に変色萎縮し,ひからびる.被害は甚大.   トガリキジラミの一種(Trioza sp.):葉と汁液の吸食害.被害株は樹勢が衰弱し,生産量と品質の低下を招く. アブラムシの一種(Aphis sp.):幼芽に加害し,新芽が萎縮する.開花結実が不能となる. ハムシの一種(Lema sp):成虫と幼虫による葉の食害.発生後,数日内に葉を食いつくす.
収穫・調製クコは定植後1年目から結実するが,本格的な収穫は2年目以降からとなる.果実は8月末から紅熟し,収穫盛期は9~11月である.品種により果実の成熟に早晩がある. 収穫後は速やかに果実を乾燥する.自然乾燥だけでは乾燥に時間がかかり,カビが発生し品質を落とす危険性があるため,温風乾燥を併用する.温風乾燥を行う場合,乾燥温度に注意し,初期には40~45°Cの低温で行い,順次45~50°C, 50~55°Cに移行するのがよく,60°Cを超えないようにする.当初から50°C以上の高温で行うと果実は焦げたように黒ずんでしまう.
収量品種,栽培法あるいは樹齢により変動が大きい.クコでは10a当たり乾果収量は概ね70~100 kg, ナガバクコでは幼齢期(定植後5年以内)で150~230 kg, 最盛期で380~450 kg である.
参考情報(生物活性)
参考情報(生物活性)ファイル
特性分類表 
表題クコの特性分類表
画像、ファイル クコ(特性分類表).pdf
備考
栽培暦 
表題クコ栽培暦
画像、ファイル クコ(栽培暦).pdf
備考
栽培方法関連データ 
栽培方法関連写真データ 
種子発芽情報データ 
備考
備考ファイル