植物名 | シャクヤク |
ラテン名 | Paeonia lactiflora Pallas |
文献コード | Paeonia_lactiflora-Ref-9 |
出典(著者,雑誌,巻号頁,発行年) | Gabryszewska E., Journal of Fruit and Ornamental Plant Research, 18(2):309-320 (2010) |
要約(和訳) | 植物組織培養で増殖させたシャクヤクは、外の環境へ移植すると生存しない。他の植物種の場合、植物組織培養で貯蔵器官を形成させることにより、馴化時の損失を抑えることができる。自然環境においては、シャクヤクの翌年育つ新芽は、地下の根頭部(変形した地下のシュート、根茎)に発生する。多年草の根頭部は、貯蔵物質の蓄積し、植物の新生を促す。本実験の目的は、ブドウ糖(30、60、90 gl-1)と植物成長調節物質(カイネチン、インドール酪酸、ジベレリン)が、試験管内において、シャクヤク'ヤドウィガ'の新芽形成、根の成長、植物の発達に及ぼす影響を調査することである。植付片からの全ての葉の切除は、新しいシュートや葉の形成を抑制し、明らかに新芽の形成を促した。ブドウ糖供給量の増加は、特に植物成長調節物質無添加では、シュート形成と出葉を低下させた。ブドウ糖によるシュート成長の強い抑制作用は、葉を除いた植付片で観察された。対照的に、ブドウ糖は、新芽形成に対しては、促進効果が認められた。葉のある植付片においては、カイネチン、インドール酪酸、ジベレリンの単独添加は、シュートや葉の成長を刺激し、新芽形成を抑制した。カイネチン、ジベレリン、及びインドール酪酸を同時に添加し、最高濃度のブドウ糖と組み合わせると、葉のある植付片ではシュートの生育が促進され、葉のない植付片では新芽数が増加した。葉のある植付片で、ブドウ糖濃度を増加させると、植物成長調節物質無添加では、根の数が増加した。ブドウ糖30 gl-1とインドール酪酸の添加は、葉のない植付片での根の形成を刺激した。異なった濃度のブドウ糖と、ジベレリン又はカイネチン(単独又はインドール酪酸との組合せ)の培地への添加は、発根を強く抑制した。これらの結果は、高濃度のブドウ糖と植物成長調節物質(カイネチン、ジベレリン、インドール酪酸)は共に、シュートや新芽形成を刺激し、しかし、形態形成の様式は、葉があるかないかに左右されることを示している。シャクヤクのシュートは、オーキシン(外生又は内生)とブドウ糖の相互作用により、根の形成が制御されるが、最終的な効果は植付片(葉があるかないか)に左右される。葉は、シュートの生育と発根を刺激し、新芽形成を抑制する非常に重要なホルモン因子と思われる。 |
目的 | 植物組織培養でのシャクヤク'ヤドウィガ'のシュート、新芽、根の生育と発達に対するブドウ糖(30、60、90 gl-1)と植物成長調節物質(カイネチン、インドール酪酸、ジベレリン)の影響の調査 |
材料(品種,系統,産地,由来) | シャクヤク'ヤドウィガ' |
外植片 | カイネチン1 mgl-1+2iP 1 mgl-1 + BAP 1 mgl-1 + TDZ 0.01 mgl-1とショ糖30 gl-1を含むムラシゲ・スクーグ(MS)培地で増殖させたシャクヤク'ヤドウィガ'から調製したシュート1つを含む根頭片(葉有り又は葉無し)' |
初期培養 | シャクヤク'ヤドウィガ'植付片材料は、カイネチン1 mgl-1+2iP 1 mgl-1 + BAP 1 mgl-1 + TDZ 0.01 mgl-1とショ糖30 gl-1を含むMS培地で増殖 |
シュート増殖 | 植付片は、葉のついた1シュートを含む根茎片又は葉を切り落とした1シュートを含む根茎片を用いた。ブドウ糖(30, 60, 90 gl-1)、カイネチン(1 mgl-1)、ジベレリン(GA3: 1 mgl-1)、インドール酪酸(IBA: 1 mgl-1)(単独又は組合せ添加)が、シュート、新芽、発根に及ぼす影響を調べた。培養条件は、16時間明期(Philips TLD 36W/95、80 μmolm-2s-1)、25℃とした。植付片からの葉の切除は、植物成長調節物質無添加培地、植物成長調節物質添加培地共に、新芽の形成を促進した。植物成長調節物質無添加培地においては、ブドウ糖濃度増加とともに葉を切除した植付片での形成新芽数が増加した。全ての植物成長調節物質を同時に添加し、最も高濃度のブドウ糖を添加した培地は、1植付片あたり4.5本の新芽が形成した。1 mgl-1のカイネチン、IBA又はGA3(単独又は組合せ添加)を添加した培地は、葉のある植付片での新芽形成を抑制した。 |
発根 | 植付片の葉は、内生の植物成長調節物質源として作用し、発根に影響を及ぼした。葉のある植付片は、植物成長調節物質無添加培地で発根し、ブドウ糖濃度増加とともに発根数が増加した(発根数は0.4から2.6本/植付片に増加)。しかし、種々濃度のブドウ糖とGA3又はカイネチンの添加は、発根を強く抑制し、又、IBAと同時にGA3とカイネチンを添加すると、両方の植付片で強く発根が抑制された。葉の切除とIBA(1 mgl-1)添加は、最も低濃度のブドウ糖添加培地(30 gl-1)で生育したシュートの発根を促進した(3本/植付片)。 |
馴化条件 | |
鉢上げ・定植 | |
栽培条件 | |
再生植物体の形質 | |
分析した成分 | |
成分の抽出法 | |
分析法 | |
備考 | |