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組織培養物及び効率的増殖法_文献

植物名オタネニンジン
ラテン名Panax ginseng C. A. Mey.
文献コードPanax_ginseng-Ref-11
出典(著者,雑誌,巻号頁,発行年)春日ら、第10回植物組織培養シンポジウム講演要旨集、2Cp-7、p160、1987.
要約(和訳)ウコギ科(Araliaceae)に属するオタネニンジン (Panax ginseng)の体細胞株変異を誘導し、それらの個体群より優良系統を選抜することを目的としてカルス培養を行なった。オタネニンジンの組織培養による不定胚誘導および植物体再分化法は現在までにいくつか報告されている。今回、不定胚誘導におけるサイトカイニンの種類および濃度の効果について研究したので若干の知見を報告する。
目的オタネニンジン (Panax ginseng)の体細胞株変異を誘導し、それらの個体群より優良系統を選抜すること
材料(品種,系統,産地,由来)オタネニンジン(長野県栽培品)
外植片オタネニンジン(長野県栽培品)の実生
初期培養70%エタノール、続いて1%次亜塩素酸ナトリウム溶液によって滅菌した植物から子葉、小葉、葉柄、根の切片を、それぞれ以下の培地に置床した。カルス誘導は、Murashige and Skoog培地に、2,4-Dおよびカイネチンを添加したものを用いて行なった。カルス増殖は同様に、2,4-Dおよびカイネチンを添加したものを用いて行なった。カルスの培養は25℃、暗黒条件で行い、30日毎に継代培養を行なった。その結果、カルス誘導は、10-5 Mの2,4-Dを添加した培地では、高頻度にカルスが誘導された。形成されたカルスには、軟かいものと硬いものが観察された。カルスの増殖は、10-6 Mの2,4-Dを添加した培地で、増殖率は最高値を示した。
シュート増殖不定胚誘導は、基本培地に3×10-5 - 3×10-4 Mのカイネチン、6-ベンジルアミノプリン、イソペンテニルアミノプリンまたはゼアチンをそれぞれ添加したものを用いて行なった。不定胚誘導は、子葉由来カルスにおいては、4種のサイトカイニン全てにおいて5×10-5または10-4 Mを添加した培地で不定胚が最もよく誘導され、高濃度のサイトカイニンによる効果が明らかになった。一方、小葉、葉柄および根由来カルスにおいては、同様の濃度のサイトカイニンで不定胚が誘導されたが、子葉由来カルスに比べて少なかった。このようにカルスのサイトカイニン反応は、培養に用いた外植片の由来する植物体部位に依存していることが明らかになった。また同時に、これらのカルスは、オーキシンによっては不定胚形成は観察されなかった。しかし、一部の培地において不定芽あるいは不定根形成が観察された。
発根誘導された不定胚は、最初は白く小さな球状であったが、オーキシンおよびサイトカイニンを添加しない低濃度の無機塩を含むMS培地で培養したところ、発達して子葉、根および葉が分化し、完全な植物となった。本実験によってカルスから不定胚誘導を経て植物体再分化の有効な方法が確立された。再分化した植物は土壌に移植し、栽培していくつかの形質について、その変異性を検討している。
馴化条件
鉢上げ・定植
栽培条件
再生植物体の形質
分析した成分
成分の抽出法
分析法
備考