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組織培養物及び効率的増殖法_文献

植物名オタネニンジン
ラテン名Panax ginseng C. A. Mey.
文献コードPanax_ginseng-Ref-12
出典(著者,雑誌,巻号頁,発行年)綾部ら、第10回植物組織培養シンポジウム講演要旨集、2Cp-8、p.161、1987.
要約(和訳)本実験では、薬用人参の優良品種の増殖、品種改良などの目的に応用するため、組織培養を試みた。その結果、薬用人参の花芽より不定胚様組織を得、それより植物体を再生させた。
目的薬用人参の優良品種の増殖、品種改良
材料(品種,系統,産地,由来)長野県産2-4年生根
外植片2-4年生根の萌芽前の根茎上部の花芽
初期培養萌芽前の根茎上部の花芽を無菌的に摘出し、試験管(直径30 mm)中のMS培地(2,4-D 1 mg/L)に入れ、25℃、連続照明下で毎分2回転の回転培養を行なった。2-3ヶ月培養を行うとカルスを形成し、その一部より直径1 mm前後で白色の不定胚様組織が形成された。
シュート増殖得られた不定胚様組織をカルスと共にMS培地(NAA 2.0 mg/L、BA 2.5 mg/L)を入れた三角フラスコ(300 mL容)で旋回振とう培養を行うと、カルスの増殖と共に不定胚様組織も増殖した。また、遊離する不定胚様組織も多くみられた。この不定胚様組織を1/2に希釈したMS培地(GA 1 mg/L、BA 1 mg/L)をゲランガムで固化させた培地に移植し、25℃、12時間照明下で静置培養することにより、植物体を再分化させることができた。
発根
馴化条件
鉢上げ・定植
栽培条件
再生植物体の形質得られた根様組織のサポニンを分析した。その結果、根様組織は、天然薬用人参とほぼ同等の総サポニン含量で、薄層クロマトグラフィーを用いた分析によれば、サポニン構成も類似していた。以上、一連の実験により、薬用人参の花芽から不定胚様組織を誘導し、再生植物体を得る方法が確立され、組織培養による優良薬用人参苗の増殖、品種改良への応用などが可能となった。また、天然の薬用人参とほぼ同等のサポニン成分を含む根様組織も得られ、組織培養による薬用人参の主要薬効成分の生産も可能となった。
分析した成分
成分の抽出法
分析法
備考