植物名 | オタネニンジン |
ラテン名 | Panax ginseng C. A. Mey. |
文献コード | Panax_ginseng-Ref-1 |
出典(著者,雑誌,巻号頁,発行年) | Choi YE et al., Plant Cell Reports 18: 493-499 (1999) |
要約(和訳) | ニンジン(Panax ginseng C. A. Mey.)未熟種子胚の子葉外植片を植物成長調節物質を含まないMS培地で培養すると,直接不定胚を誘導でき,多数の不定胚がお互いに融合し,子葉外植片と融合していた.子葉外植片を1.0 Mショ糖で24-72時間処理すると,子葉の全ての表面に個々の不定胚が形成し,外植片当たりの形成不定胚数は増加し,4倍となった.組織学的観察により,予め原形質分離を起こさせた子葉に形成した全ての個々の不定胚は,1個の表皮細胞由来であることが示され,一方,前処理無しの子葉に形成した多数の不定胚は表皮細胞及び表皮下細胞集団由来であった.不定胚が子葉期まで成熟すると,成長が停止し,白いままとなり,恐らく休眠していると思われた.1.0 mg/l以上のGA3あるいは低温処理(-2℃,8週間以上)が不定胚発芽の必要条件であった.超微細構造観察の結果,低温やGA3処理を行っていない不定胚の子葉細胞には多数の脂質蓄積があり,細胞質の密集,プロプラスチド,不活性型のミトコンドリアが認められ,一方,低温やGA3処理後の不定胚の子葉細胞は,高度に液胞が形成し,発達した葉緑体を含み,多数のクリステで囲まれた活性型のミトコンドリアを含んでいた.このことは,培養で得られたニンジンの不定胚は,種子胚と同様に,成熟すると休眠することを示唆している. |
目的 | 成長が緩慢で,種子が得られるまでに3年以上を要するニンジンのクローン増殖法と分子育種のための手法の開発. |
材料(品種,系統,産地,由来) | Panax ginseng C. A. Mey. |
外植片 | 採取直後の極めて未熟な胚を含む種子を湿った砂中で保存し胚を成熟させ,種皮を取り除き,未熟な種子胚(3 mm長)を含む種子を70%アルコールで1分間,1%NaOCl中で20分間表面殺菌後,滅菌水で3回洗浄し,未熟な種子胚を取り出し,子葉の付け根で立てに分割して使用. |
初期培養 | 殺菌後取り出した種子胚を子葉の付け根で縦に分割し,1.0 Mショ糖溶液で24-72時間処理後,0.1 Mショ糖溶液で50%濃度まで希釈して5分間処理して原形質分離を解除し,最終的に0.1 Mショ糖溶液に交換.処理後の子葉切片を0.1 Mショ糖 + 0.7%寒天含有,植物ホルモン無添加MS培地(30 ml/10×2 cm petri dish)に向軸側が培地に触れるように置床し,24℃,16時間照明下(24 µmolm-2S-1)で培養.10週間後,不定胚が形成した子葉切片の数,外植片あたりの形成不定胚数,シングル不定胚及びマルチプル不定胚の割合を評価.
1.0 Mショ糖溶液で48時間処理すると切片当たりの不定胚数は36個で,そのほとんどがシングル不定胚で,子葉外植片表面全体に形成. |
シュート増殖 | GA3の不定胚発芽への効果を調べるため,不定胚を種々濃度のGA3(0, 1, 4, 8, 10 mg/l) + 3%ショ糖 + 0.7%寒天含有MS培地で2ヶ月間培養.低温処理の効果を調べるため,不定胚を培養しているpetri dishを低温培養庫(-2, 0, 4℃)に入れ,2-12週間処理後,通常の培養庫に移動して2ヶ月間培養.
ホルモン無添加MS培地では不定胚の成熟は子葉期までは進むが,その後の発芽と植物体再生は起こらなかった.しかし,GA3処理では2ヶ月以内に迅速な緑化と発芽が観察され,1 mg/l添加でも80%以上が発芽した.低温処理では,-2℃で8週間処理すると85%以上が発芽したが,0℃以上の処理では発芽しなかった. |
発根 | 低温及びGA3処理により多数のシングル不定胚が緑化して発芽し,完全な子葉に覆われたが,発根はしなかった.そこで個々の不定胚を切り離して,1/3濃度のMS培地で2ヶ月間培養すると87%がシュートと根を有する正常な植物体に再分化した.一方,原形質分離前処理無しで子葉外植片に形成したマルチプル不定胚は,ほとんど根の無いマルチプルシュートが形成するだけであった. |
馴化条件 | 記載無し. |
鉢上げ・定植 | 記載無し. |
栽培条件 | 記載無し. |
再生植物体の形質 | 記載無し. |
分析した成分 | 記載無し. |
成分の抽出法 | 記載無し. |
分析法 | 記載無し. |
備考 | |