植物名 | オタネニンジン |
ラテン名 | Panax ginseng C. A. Mey. |
文献コード | Panax_ginseng-Ref-3 |
出典(著者,雑誌,巻号頁,発行年) | Choi YE et al., Plant Cell Reports 17: 544-551 (1998) |
要約(和訳) | ニンジン(Panax ginseng C. A. Mey.)子葉外植片を植物成長調節物質を含まないMS培地で培養すると,直接不定胚が形成した.体細胞不定胚は,子葉の熟成度によりマルチプルあるいはシングル状態で発生した.半熟の種子胚の子葉外植片は,マルチプル不定胚を形成し,一方,完熟種子胚の子葉外植片は,シングル不定胚を形成した.シングル体細胞不定胚は,根とシュートを有する正常な植物体へと分化するが,マルチプル不定胚は,根を形成せず,単にマルチプルシュートへと分化した.シングル不定胚由来の植物体の根の生育は,MS基本培地ではシュートに比べると良くなかった.MS培地から硝酸アンモニウムを抜くと植物体の根の形成を促進した.シングル不定胚から再分化し,良く発達したシュートと根を持ったニンジン植物体は,土壌へ移植すると,温室で良好に馴化した. |
目的 | 成長が緩慢で,種子が得られるまでに3年以上を要するニンジンのクローン増殖法と分子育種のための手法の開発. |
材料(品種,系統,産地,由来) | Panax ginseng C. A. Mey.(the experimental garden of the Korea Ginseng and Tobacco Research Institute) |
外植片 | 採取直後から湿った砂中,10℃で数ヶ月間成熟させた種子(4段階の熟度:1 mm長の未熟な子葉期,3 mm長の半熟子葉期,6 mm長の完熟子葉期,60 mm長の実生期)を使用. |
初期培養 | 種子を70%アルコールで1分間,1%NaOCl中で1時間表面殺菌,滅菌水で3回洗浄後,種子より種子胚を取り出し,子葉切片を調製後,向軸側が培地面に接するように,5%ショ糖 + 0.7%寒天を含むMurashige and Skoog (MS)培地(30 ml/10×1 cm plastic petri dish)に植え,24℃,16時間照明(24 µmolm-2S-1)で培養.5%ショ糖を含むMS寒天培地で子葉切片を培養すると,子葉の基部近くに体細胞不定胚が形成し,その形成率は半熟種子胚由来の子葉切片が最も高く(93%),完熟種子由来では66%に低下し,未熟種子胚由来及び実生由来では不定胚は形成しなかった.半熟種子胚由来の不定胚は,その96%がマルチプル不定胚で,完熟種子胚由来では,その87%がシングル不定胚であった. |
シュート増殖 | 2ヵ月間の培養後,子葉期まで生育した体細胞マルチプル及びシングル不定胚は生育を停止.そこで体細胞不定胚が形成した子葉切片を,3×10-5 M GA3 + 3%ショ糖含有MS培地に移植して培養すると2週間以内に緑化し発芽.しかし,不定胚を高濃度のGA3(6×10-5 M)含有培地で培養を継続すると以上に細いシュートの伸長が引き起こされたため,GA3処理は2週間に限った. |
発根 | 体細胞不定胚を外植片から切り離さないでいるとシュートは生育するが発根しない.しかし,発芽した不定胚(10 mm長,シングル不定胚)を個々に切り離し,1/2MS培地に移植して培養するとシュートと根が同時に生育し,1ヵ月間で植物体にまで生育(効率73%).一方,マルチプル不定胚は発根せず,植物体にまで生育しなかった.発芽した不定胚の1/2MS培地での根の生長はシュートに比べて不良であったため,植物体の根とシュートの生育に対する窒素源の効果を調べた,発芽中の不定胚(10 mm長)を3×10-5 M GA3 + 2%ショ糖含有MS液体培地(50 ml,種々濃度及び種々組み合わせの硝酸アンモニウムと硝酸カリウムに改変,ろ紙ブリッジ)で2ヶ月間培養し,シュートと根の生育を試験.その結果,根の生育は硝酸アンモニウムを含まない培地で良好なことが判明し,植物体の育成には,硝酸アンモニウムを含まない1/2MS培地を使用することとした.シングル不定胚から再生した植物体は,47%が種子胚から生育した植物体と同様に1つの上胚軸を有し,35.1%は多数の上胚軸を有し,17.3%は休止した上胚軸を有していた. |
馴化条件 | シングル不定胚から発育したシュート部と根を有する約7 cm長の幼植物を土ー砂ーピート砂(4:3:3)を含むプラスチック鉢に移植し,3週間はガラスビーカを被せて温室で栽培.その後,通常の温室条件に馴化させ,移植7週間後に生存率を観察した結果90%以上が生存.しかし,再分化植物体は,立ち枯れ病を被りやすく,一旦カビが土の表面に観察されると,1-2週間以内に立ち枯れ病で枯れた.種子から育成した植物体は,1年目は1枚の葉しかもたないが,いくつかの再分化植物体は休眠中の芽からの葉の生長が認められた. |
鉢上げ・定植 | 記載無し. |
栽培条件 | 記載無し. |
再生植物体の形質 | 記載無し. |
分析した成分 | 記載無し. |
成分の抽出法 | 記載無し. |
分析法 | 記載無し. |
備考 | |