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組織培養物及び効率的増殖法_文献

植物名シナニッケイ
ラテン名Cinnamomum cassia Blume
文献コードCinnamomum_cassia-Ref-1
出典(著者,雑誌,巻号頁,発行年)稲本ら.植物組織培養,6(1), 25-27 (1989)
要約(和訳)桂皮として市販される物品は、クスノキ科のCinnamomum cassiaから得られ種々重要な用途がある。したがってこの樹種の増殖は経済的価値が高いが、実際には増殖には適さない実生、または取木繁殖法が行われている。一方この樹種には広い形質変異があり、樹勢、耐病性、二次代謝産物(目的物)の含量などに大幅な個体差がある。現在のところは個体選抜は行われておらず、産地による優劣が知られるのみであり、実生繁殖からは雑多な形質のものが得られる。このような事から、一方において個体選抜を目指しながら、この研究においては生長中の枝の側芽から芽条発生と発根とを誘導することにより、優良個体のクローン化と大量増殖法の開発を試みた。
目的優良個体のクローン化と大量増殖法の開発
材料(品種,系統,産地,由来)高砂香料植物研究所(愛媛県)に植栽されているC. cassia樹
外植片C. cassia樹から数本を選んで採枝し、その腋芽、および他の個体から得た種子の芽生の腋芽(原系統は米国フロリダ起源)。予備実験を経て、最終的に実験材料としたのは整理番号F69の個体から得た種子の芽生(個体番号:F69-2)
初期培養圃場より取った供試樹の枝は、置床の前に、70%エタノール水溶液に5分、飽和クロールカルキ上澄み液に15分浸漬後、無菌水で3回洗浄することにより滅菌した。種子の滅菌は、果肉を除いた後、上記の方法で行なったが、無菌芽生えからの腋芽置床には滅菌操作を行わず無菌的に置床した。この研究では、段階に応じて、種々の培地を用いたが、最終的に成功した培地についてのみ記述する。短小芽条塊を誘起する培地は、Murashige-Skoog(MS)の基本培地に、ショ糖3%、BA 1.0 mg/L、NAA 0.1 mg/Lを添加し、pHを5.8としたもの(M14培地)を個体培地(ゲランガム0.2%)又は液体培地として用いた。ホルモン無添加のMS培地を含む幾つかの培地では、置床体当たり1-2本の芽条が生長した。しかしホルモン無添加MS培地などでは、この状態から植物体の褐化が起こったが、M14培地上では芽条の伸長が停止し、その後枯死しなかった。本論文の主要部分の実験では、F69個体より得た種子から無菌苗を育て、その幹、枝の腋芽から無菌催芽を行った。
シュート増殖発生、生長した短小芽条塊を無菌的に分割して新しい固形M14培地に置床すると、そのまま無限増殖した。また、これを液体M14培地で振とう培養すると、固形M14培地上より急速に短小芽条の数の増加と体積の増大とがみられた。分割した短小芽条塊を濃度1/2のMS基本培地にショ糖1.5%とBA0.8 mg/Lを加えた芽条伸長培地に置床した。その結果、多くの短小芽条中、数本が伸長生長した。更に細分した短小芽条塊の分割体からは、さらに効率よく伸長芽条が得られた。
発根伸長培地上で伸長した芽条をハイポネックスにホルモンを添加した発根培地に置床すると発根した。
馴化条件園芸用育苗培土上での馴化は比較的に容易であったが、このようにして作られた苗木が種子よりの実生と比較して将来どのような生長特徴を示すかは未観察である。
鉢上げ・定植
栽培条件
再生植物体の形質
分析した成分
成分の抽出法
分析法
備考