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組織培養物及び効率的増殖法_文献

植物名コガネバナ
ラテン名Scutellaria baicalensis Georgi
文献コードScutellaria_baicalensis-Ref-2
出典(著者,雑誌,巻号頁,発行年)Alan AR et al., Plant Cell Reports, 26, 1345-1355 (2007)
要約(和訳)フローサイトメトリー(FCM) 解析と形態学的解析及び化学組成分析の組合わせにより,インビトロで 6 年以上クローンを維持している Scutellaria baicalensis 系統の遺伝的安定性及び生理活性物質の多様性について調べた.若いシュート由来の各サンプルを用いた FCM 解析に基づいて,S. baicalensis の核DNA量は、0.84 pg/2Cと算出した.また,FCM 解析では,インビトロで長期間維持している系統間に核DNA量および倍数性の有意な差は認められなかった.外環境に馴化させたインビトロ維持系統の植物体は,特色のある生育および生理活性物質の生産能を示した.S. baicalensis で認められたこのような高い遺伝的安定性は,この薬用植物種のよく解析された系統の長期間の無菌保存および容易な供給を可能にする.この研究は,持続的な維持管理,モニタリング,特異的な化合物を有する薬用植物組織の生産への新しいアプローチを示すものである.
目的インビトロ下で長期間、維持・増殖している S. baicalensis 系統の遺伝的安定性および薬用物質の生産性を明らかとする
材料(品種,系統,産地,由来)Richter’s Herb Specialists (Goodwood, ON, Canada) で入手したScutellaria baicalensis種子 (2n = 2x = 18)
外植片種子
初期培養コントロール植物:種子を70%エタノールで5秒間,殺菌液(20%市販のブリーチ,0.1% Tween 20含有)で20分間殺菌後,滅菌水で3回洗浄し,65 mlのMSO培地[pH5.75, Murashige and Skoog (MS) 塩,Gamborg B5 (B5)ビタミン,2.5 gL-1 ゲルライト(Sigma Chemical Co., St. Louis, MO, USA),30 g L-1ショ糖)に置床し,16時間明(25-40μmol m-2 s-1)/28℃,8時間暗/24℃で培養.10日以内に発芽し,発芽より2ヶ月後に植物体に生育.
シュート増殖コントロール植物:培養植物体より調製した節切片9個を新しいMSO培地が入ったMagenta boxに継代し2ヶ月間培養. In vitro維持系統:実生を化学変異剤etylnitrosoureaで処理した後,thidiazuron (TDZ) 含有培地で培養して誘導.得られた系統は,培養植物体の節切片を2ヶ月毎にMSO培地(9切片/65 ml MSO培地/Magenta box)に継代することで維持.培養条件は16時間明(25-40μmol m-2 s-1)/22℃,8時間暗/17℃.コントロール植物は培養2ヶ月間までに健全な2本のシュートと2本の根が形成した.長期間培養で維持されて来た系統は,健全な根とシュートが形成したが,成長には違いが認められた.培養で維持して来た系統は,節切片には2個の芽があるのみであるにも関わらず,3個以上の芽を持つ多芽体が形成する傾向があった.
発根MSO培地に節を植付け後 4-6 週間で発根し,植物体が形成.
馴化条件培養培地を水道水で落とした植物体を、soil-less mix (combing Profix と パーライトを等量ずつ混ぜたもの) を入れた 72 セルトレイに移植.トレイにはプラスチックカバーをかけて,グロースチャンバー (16時間明/24℃,8 時間暗/20℃,95% 相対湿度)で栽培.グロースチャンバー内の相対湿度は,1 週間に 5% ずつ湿度を下げ、相対湿度 80% になった 3 週間目の最後の日にカバーをとる。
鉢上げ・定植植出し4 週間目の最後にそれぞれの系統について15~25個体を、soil-less mix (バーミキュライト と パーライトを等量ずつ混ぜたもの)を入れた 6 インチポットに移植し温室で栽培.
栽培条件通常の温室条件で栽培
再生植物体の形質FCM分析の結果,長期間培養で維持して来た系統の核DNA量はコントロール植物及び種子を播種して得た植物と有意差が認められなかった.長期間培養で維持して来た系統の倍数性は良く維持されており,混倍数性や多倍数性は認められなかった.温室での栽培2ヶ月後に収穫し,根及びシュートの形質を調査した.長期間培養で維持して来た系統は,種子より育成した植物と同様に,黄色の円錐形の根を形成した.しかし,種子由来植物は1本の根を形成したのに対し,コントロール植物は平均3本の根が形成し,培養で長期間維持してきた系統は系統により根及びシュートの本数が異なっていた.栽培した全ての系統は,フラボノイド,baicalein,baicalin,wogoninの生産性を維持しており,系統により特徴的なフラボノイドの量が異なっていた.平均して根の試料は,10.2 mg/g baicalein, 42.16 mg/g baicalin,1.45 mg/g wogoninを含有し,シュート試料は0.12 mg/g baicalein,1.59 mg/g baicalinを含有していた.培養により長期間維持して来た全ての系統の根及びシュート試料は抗酸化活性を有し,根の試料はシュート試料の約2倍の活性を有していた(0.041 mg vs. 0.090 mg).概して高い抗酸化活性を示した根の試料は高レベルのフラボノイドを含有していた.
分析した成分baicalein,baicalin,wogonin
成分の抽出法粉末にした乾燥試料を琥珀色のバイアルに入れ,室温,弱光下で超音波洗浄機で処理し,エタノールエキスを作製.超音波処理した抽出液を2,400×gで3分間遠心して得た上清を濾過(0.45μm nylon syringe filters, Waters Inc., Mississauga, ON, Canada).
分析法baicalein,baicalin,wogoninはHPLC,Phenomenex Luna C18 column(5.0 mm; 4.6×150 mm),グラジェント溶出で分離し,UV 277 nmの吸光度を標準品と比較することにより定量.baicalein,baicalin,wogoninの抽出物からの回収率はいずれも90%以上.
備考