組織培養物及び効率的増殖法_文献
植物名 | ダイオウ |
ラテン名 | Rheum palmatum Linne |
文献コード | Rheum_palmatum-Ref-1 |
出典(著者,雑誌,巻号頁,発行年) | 昭和63年度共同研究報告書、道産生薬の品質向上と育成に関する研究、平成元年3月、北海道立衛生研究所、北海道立北見農業試験場、北海道立林業試験場、北海道立中央農業試験場、p.6-9 |
要約(和訳) | ダイオウは雑種を作りやすく、自然交配させた種子での繁殖では品質の安定した大黄の生産は困難である.そこで、ダイオウの組織培養法による増殖を検討した結果、2 系統のダイオウについて茎頂培養での苗の作出に成功した.この苗を圃場で3年間栽培し、その有効成分を定量した結果、親株に比べて品質が劣っていないことが証明できた. |
目的 | 自家不和合性があり、自然交配による増殖では一定の遺伝形質を持った栽培品種の育成が困難なダイオウの、組織培養による優良品種増殖法の確立 |
材料(品種,系統,産地,由来) | 1927-1928年にドイツのミュンヘン植物園より導入され,ホッカイダイオウとして北海道内で栽培されているダイオウ(Rheum palmatum L.)の3年生株(衛生研究所薬草園で栽培)2種(ダイオウC及びダイオウT)の根茎側芽 |
外植片 | 0.5mmの茎頂組織片 |
初期培養 | 茎頂組織片をMurashige & Skoog (MS)培地+ナフタレン酢酸(NAA) 0.1-3.0 mg/L+ベンジルアデニン(BA)0.1-3.0 mg/L+ショ繍3%+寒天0.6%、pH5.6に置床し、24 時間照明、3.000-5.000 lux, 20℃で培養した.カルス形成は、ダイオウCおよびダイオウT共にNAA濃度が高いほど良好であり、不定芽の形成は、BA濃度が高〈、NAA濃度が低い方が良好な傾向にあった.ダイオウTではNAA-BA(0.1-3.0 mg/L)濃度区で葉条塊(shoot mass) が得られ、大量の不定芽を得ることが可能となった.しかし、ダイオウCではどのNAA-BA濃度区でも葉条塊は得られなかった. |
シュート増殖 | ダイオウCの不定芽の形成についてさらに検討した.ダイオウCの茎頂組織を培養し、得られた不定芽を成長させると葉を形成した.得られた葉をNAA-BA(0.1-3.0 mg/L)濃度区で継代培養を続けることにより、葉の表皮から不定芽が誘導された.また、葉を葉柄から切り取り、培養することによっても表皮から不定芽が誘導された.この方法を用いることにより、ダイオウCより効率的に不定芽を得ることが可能となった. |
発根 | ダイオウCの茎頂組織培費により得られた葉より誘導した不定芽について、その発根条件を検討した.2-3 cmに伸長したシュートを用いて、培地の無機塩濃度およびオーキシンの種類と濃度について検討した.その結果、培地の無機塩濃度を1/2に希釈した培地(1/2MS) を用い、NAAを1.0 mg/L添加した場合に83% と高い発根率が認められ、効率よ〈発根させることが可能となった. |
馴化条件 | 記載無し |
鉢上げ・定植 | 記載無し |
栽培条件 | 前述の方法で培養して作出した苗(系統CおよびT) を昭和61年6月に衛生研究所薬草園に植え付け、63年10月まで栽培した. |
再生植物体の形質 | 約2年間圃場栽培後、掘り上げた1株の平均生重は3.8kgであった.水洗後、根をほぐし天日乾燥した.比較のため、同薬草園で種子繁殖させ栽培中の系統Cを掘り上げ、同様に乾燥した.また、雅黄と称され中国より輸入された2 試料を大阪より購入した.センノサイドA含量は、作出株C:1.41%、作出株T:1.21%、種子由来株C:0.82%、輸入品1:1.25%、輸入品2:0.47%、センノサイドB含量は、作出株C:0.13%、作出株T:0.34%、種子由来株C:0.19%、輸入品1:0.32%、輸入品2:0.12%、レイングルコサイド含量は、作出株C:1.06%、作出株T:0.87%、種子由来株C:1.47%、輸入品1:1.54%、輸入品2:0.10%であった.茎頂培養で作出した苗から得られた大黄は両系統共にセンノサイド含量が高く、品質的良いことが明らかになった. |
分析した成分 | センノサイドA、センノサイドB、レイングルコサイド |
成分の抽出法 | 48メッシュ以下に粉砕した試料1.00gを精密に量り、50%含水アセトン20 mLを加えて室温で15分間振とう抽出した.遠心、分離後上澄液を除き、残渣を更に同様に抽出した.抽出液を合わせて、アセトン臭が無〈なるまで減圧濃縮した後、アセトニトリル5 mLを加えてから、脱イオン水で50 mLにメスアップした.このうちの5 mLを取り、酢酸エチル10 mLで3回抽出した.水層を酢酸エチル臭が無〈なるまで濃縮し、脱イオン水で5 mLにメスアップし、試験溶液とした. |
分析法 | HPLC の条件 機器:日立638型高速液体クロマトグラフ (日立波長可変型検出器付)、カラム:ヌクレオシル5C18 (4øX250 mm)、移動相:A液 アセトニトリル/水( 8:92) B液 アセトニトリル/水(40:60)(各液にlL当り1 gのシュウ酸を添加)、グラジエント法 B液 0→100% (25分)、流速:1.2 mL/分、カラム温度:40℃、測定波長:340 nm、注入量:10μL |
備考 |