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組織培養物及び効率的増殖法_文献

植物名トウキ
ラテン名Angelica acutiloba Kitagawa
文献コードAngelica_acutiloba-Ref-2(文献入手不能)
出典(著者,雑誌,巻号頁,発行年)Miura Y. et al., Planta Medica 54(1): 79-81 (1988).
要約(和訳)商業栽培されているトウキ(Angelica acutiloba)1本を材料に,細胞懸濁培養より誘導した体細胞不定胚を介して増殖させたクローン植物は,種子で増殖させた植物に比べて,根の医薬上有効な化学成分(リグスチライド及びコリン)の含量が非常に均一であった.
目的
材料(品種,系統,産地,由来)
外植片自然交配の大深トウキより選抜した自殖後代(S2)の系統7
初期培養
シュート増殖水道水で30分間洗浄した蕾はを70%エタノールで10秒間,1%次亜塩素酸ナトリウム液で20分間殺菌し,滅菌水で2回洗浄.これらの蕾は,0.5-1 cm長の切片にし,10-6M 2,4-Dと10-6Mカイネチンを含むLinsmaier-Skoog (LS)寒天培地,25℃,暗所で培養.花梗に形成したカルスは,30日毎に同条件(ただし)で継代.不定胚を形成するカルスは,25℃,暗所,往復式シェーカー(100回/分),同条件の液体培地(30 ml,/100 mlフラスコ)で培養して誘導.これらの培養物は3週間毎に継代.
発根10-6M2,4-D+10-6Mカイネチン含有LS寒天培地で8-10代継代後,10-6M2,4-D含有(カイネチンを含まない)LS寒天培地にで培養すると,2ヶ月後に体細胞不定胚の形成が一部の培養物に観察された.一端体細胞不定胚が誘導されると,継代したカルスは継代後も体細胞不定胚を形成した.カルス又は細胞懸濁培養より誘導した体細胞不定胚は,植物ホルモン無添加LS回転培地に移植し,25℃,14時間/日照明(6000ルクス)で培養.
馴化条件植物ホルモン無添加1/4LS寒天培地1%ショ糖で体細胞不定胚から生育した3〜5 cm長の植物体は,砂とバーミキュライトを1:1で混合した培養土を入れたプランターに移植
鉢上げ・定植20-25℃の温室で3ヶ月間育成
栽培条件100個体を株間60 cmで4月に圃場に定植.比較として,生育期が同じ頃の,自然交配で増殖させた後代の大深トウキ100個体,選抜系統自殖後代6系統(S3)100個体を同じ圃場に定植.
再生植物体の形質
分析した成分根の乾燥重量の変動係数は3区間で差が無く,クローン植物の乾燥重量は,他の2区より小さかった.しかし,リグスチライド及びコリン含量は,明らかにクローン植物において変動係数が小さかった.
成分の抽出法ligustilide, choline
分析法圃場栽培8ヶ月後の12月初旬に収穫し,根を40℃で1週間,温風乾燥.乾燥重量を測定後,粉砕.根の粉末試料0.5 gは,6 mlのクロロホルム-メタノール(2:1),4℃,暗所で2週間抽出し,リグスチライド含量はYamagishi's methodを用い,以下のGLC条件で分析.カラム:stainless steel column packed with 3% OV-17 (2 m× 3 mm).カラム温度:200℃,注入温度:250℃,キャリアーガス:N2 (30 ml/min),検出器:FID,内部標準品:diiso-butyl phthalate.コリン含量は,Hayashi's methodで評価.根の粉末試料(0.5 g)は,沸騰水(30 ml)で1時間抽出し,ろ液を水で50 mlに希釈.この1 mlに0.2 mlの0.5 M酢酸緩衝液(pH5.0),0.1 mlの0.1M KI試薬,4 mlの0.5% I2を含有するエチレンジクロライドを加え,混和20分後,遠心分離し,コリンの含量は,エチレンジクロリド層の385 nmでの吸光度を測定して算出.
備考