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組織培養物及び効率的増殖法_文献

植物名トウスケボウフウ
ラテン名Saposhnikovia divaricata Schischkin
文献コードSaposhnikovia_divaricata-Ref-1
出典(著者,雑誌,巻号頁,発行年)平岡ら 生薬学雑誌 41(1), 43-47 (1987)
要約(和訳)トウスケボウフウの組織培養による栄養繁殖は,1)葉を1μM 2,4-Dおよび 1μM カイネチンを添加したLS培地へ移植してカルスを誘導した. 2)カルスを移植せずに4カ月以上培養を続けて不定胚を形成させた. 3)不定胚を植物生長調節物質を含まない液体培地で増殖させた. 4)不定胚を植物生長調節物質を含まない寒天培地で発芽させた. 5)ショ糖濃度 1 %のLS寒天培地で幼植物にした. 6)フラスコ内の植物を鉢上げした.
目的トウスケボウフウの組織培養による繁殖法の検討
材料(品種,系統,産地,由来)国立衛生試験所筑波薬用植物栽培試験場より分与された1年生苗をさらに栽培した2年生のもの
外植片カルス誘導および不定胚形成:5月下旬から8月下旬までの間,5回にわたって採取した葉を,流水で30分間戦場した後,70%エタノールに30秒間浸し,次いで2%次亜塩素酸ナトリウム溶液で15分間振とうし,滅菌水で3回洗浄.滅菌した葉身を5~10mmの幅に切断し,外植片とした.再分化植物からの不定胚の発生:再分化植物を外植片とした.
初期培養カルス誘導および不定胚形成:LS培地にショ糖3%,寒天1%,さらに植物生長調節物質として1μM 2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)のみ,1μM 2,4-D+1μM カイネチン,1μM 1-ナフタレン酢酸(NAA)+1μM カイネチンを添加し,pH 5.6 に調整した培地を試験管に10mLずつ分注し,121℃で15分間高圧蒸気滅菌.試験管1本に葉外植片1個を植え込み,暗所25℃で途中移植することなく6カ月以上培養した結果,2,4-Dとカイネチンの両方を添加した培地がカルス形成に有効であった.また,翌年の6月と7月に再び親植物を材料にしてカルス誘導を試みた.6月の実験では植物生長調整物質に 2,4-Dとカイネチンの両方を用い,凝固剤として1%寒天または0.2%ジェランガムを加えた培地,各100本を使用した.その結果,カルス形成率は寒天を用いた培地で69%,ジェランガムを用いた培地で97%であった.7月の実験には植物生長調節物質として2,4-D単独,またはこれにカイネチンを加えた寒天培地100本ずつを用いた結果,カルス形成率は培養2ヶ月後は2,4-Dのみでは0%,2,4-Dとカイネチンを加えたものでは15%であったが,さらに6ヶ月後,カルス形成率が前者は11%,後者は30%となった.
シュート増殖生長調節物質無添加のLS液体培地 20mLを入れた三角フラスコに 1個の不定胚を形成したカルスを入れ,90~100 rpm,振幅 80 mm,25℃,暗所で 11日間振とう培養した結果,11日で不定胚の増殖が確認された.
発根液体培地で増殖した不定胚を幼植物に育成するために,LS寒天培地で 3週間培養後,ショ糖濃度 1%のLS寒天培地に移植し,25℃,2000~4000 lux,1日16時間の蛍光灯照明下で 24日間培養.その結果,植物生長調節物質を含まないLS寒天培地へ移したところ発芽し始め,ショ糖濃度 1%のLS寒天培地に移植し幼植物としたものは根の発達が劣るものが多くみられた.
馴化条件
鉢上げ・定植バーミキュライトのみ,赤玉土・腐葉土(7:3)のみ,赤玉土・砂・ピートモス(4:3:3)のみの直径 8 cmのビニールポットに幼植物を移植.はじめの1~2週間は温室内のミスト装置下,その後温室内の棚へ移し8ヶ月半栽培し,次いで6号素焼鉢に植えかえ.活着率は移植11日目で,バーミキュライトが 100 %,赤玉土・腐葉土(7:3)が 75 %,赤玉土・砂・ピートモス(4:3:3)が 33 %となり,40日目ではそれぞれ33.0,37.5,16.7 %に低下した.生長に関しては,バーミキュライトを用いたものが良好であった.
栽培条件温室で栽培
再生植物体の形質
分析した成分
成分の抽出法
分析法
備考