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組織培養物及び効率的増殖法_文献

植物名キク
ラテン名Chrysanthemum morifolium Ramatulle
文献コードChrysanthemum_morifolium-Ref-2
出典(著者,雑誌,巻号頁,発行年)Shatnawi M. et al, Jordan Journal of Biological Sciences, 3(3): 101-110 (2010)
要約(和訳)キクのマルチプルシュート形成による増殖法を確立した。温室で育成した植物を培養系の確立の外植片として用いた。殺菌した茎頂をMurashige and Skoog(MS)培地で培養した。0.3 mg/lのベンジルアミノプリン(BAP)を添加したMS培地での培養で、キクの組織培養での増殖に成功した。種々濃度のオーキシンを添加したMS培地での培養で発根に成功した。さらに、0-300 mMのNaClによる、in vitroでの塩ストレス試験を行った。シュート増殖は、NaCl濃度増加とともに、徐々に抑制された。シュート長、葉数、新鮮重、乾燥重、葉緑素及びカロテノイドは、塩濃度の上昇とともに減少した。塩濃度の増加に従って、プロリン及びナトリウム含量は増加し、一方、カリウム、窒素、たんぱく質含量は低下した。培養植物体は、高い塩濃度に耐性を示し、生育は負の影響を受けた。高い塩濃度は、ミクロシュートのタンパク質を顕著に減少させた。キクの培養物での塩ストレスに対する反応は、圃場での現象を再現していると結論づけた。
目的キクの植物組織培養による効率的増殖法の確立とキク培養物のNaClへの応答の調査
材料(品種,系統,産地,由来)温室で栽培したキク
外植片茎頂
初期培養キクの茎頂は、水道水で洗浄後、70%エタノールで30秒間殺菌し、さらに3.5%次亜塩素酸ナトリウム液に15分間浸した。クリーンベンチ内で、滅菌水で4回洗浄(各5分間)し、余分な殺菌液を取り除いた。培地は8.0 g/lの寒天で固化させた(8 ml/試験管)、121℃でオートクレーブした。1/2MS培地で生育させた茎頂は、24 ± 2 °C、16 h light/8 h darkのグロースチャンバーで培養した。得られたミクロシュートは、実験開始のために、MS培地への継代培養を6回繰り返し、実験用の十分な材料を得た。MS培地のpHは5.8、8.0 g/lの寒天で固化、60 mlフラスコを培養器とし、121℃でオートクレーブした。培養物は、23±2℃、16時間明期(50μmolm-2s-1)/8時間暗期で管理した。
シュート増殖内在性のサイトカイニンの影響を排除するため、ミクロシュートをホルモン無添加MS培地で2週間培養した。シュート増殖のため、15 mm長のミクロシュートを、0.0、0.3、0.6、0.9、1.2、1.5 mg/lのベンジルアミノプリン(BAP)またはカイネチンを添加したMS培地に継代した。MS培地はpH5.8、8 g/lの寒天で固化、ショ糖30 g/lとし、250 mlのErlenmeyerフラスコに50 mlの培地を入れ、121℃でオートクレーブした。切片は、16時間明期(50 μmol m-2s-1)/8時間暗期のグロースチャンバーで培養し、6週間後にシュート長、切片当たりのシュート数を調査した。BAP濃度を0.0から0.3 mg/lに増加させると、増殖シュート数が1.98から4.35に増加した (P=0.05)。BAP1.5 mg/lでは、0.3 mg/lに比べて増殖シュート数が少なかった。最大増殖シュート数は、BAP0.3 mg/で得られた。同様に、カイネチンは切片当たりのシュート数を増加させた。BAP又はカイネチン濃度の増加は、シュート長を短くした。
発根内在性のサイトカイニンの影響を排除するため、ミクロシュートを植物ホルモン無添加MS培地に継代し、2週間培養した。15 mm長のミクロシュートを、0.0、0.2、0.4、0.6、0.8、1.0 mgl-1の3インドール-3-酪酸(IBA)、インドール-3-酢酸(IAA)又は1-ナフタレン酢酸(NAA)と8g/l寒天、30g/lショ糖を添加MS培地に継代した(他の培養条件は、シュート増殖と同様)。培養6週間後に、発根数、根長、葉数を調査した。ミクロシュートは、いずれも培地でも発根に成功し、培養14日後に発根が認められた。発根は、IBA、IAA、又はNAA添加培地いずれでも、シュート基部に認められ、カルス形成は認められなかった。IBA、IAA、又はNAA濃度の増加は、根長に顕著な影響を与えた。最大発根数は、IBA 0.2 m/l添加で得られ、ミクロシュートあたり、平均18.75本の根が形成した。IBA、IAA、又はNAA 1.0 mg/l添加では、顕著に根長が短くなった。IBA濃度の増加は、顕著に新しい葉の形成数を増加させた。最大葉数(17.07)は、IAA 0.4 mg/l添加で得られ、IBA 0.4 mg/l添加が続いた(葉数:14.75)。
馴化条件記載なし
鉢上げ・定植記載なし
栽培条件記載なし
再生植物体の形質記載なし
分析した成分記載なし
成分の抽出法記載なし
分析法記載なし
備考