薬用植物総合情報データベース

組織培養物及び効率的増殖法_文献

植物名ダイオウ
ラテン名Rheum palmatum Linne
文献コードRheum_palmatum-Ref-2
出典(著者,雑誌,巻号頁,発行年)Kaneko K. et al., Shoyakugaku Zasshi 40(4): 401-405 (1986)
要約(和訳)ナフタレン酢酸(NAA) 8 mg/Lとベンジルアミノプリン(BA)2.56 mg/L添加MS培地(ペーパーブリッジ)で茎頂から誘導したシュートは、NAA 4 mg/LとBA 7.56 mg/L添加培地に移植すると14日以内に急速に増殖した.引き続いてシュートをBAP無添加培地に移植すると3週間以内に発根した.発根した幼植物体はバーミキュライトが入った鉢で3週間以内に容易に活着し、さらに土壌で6ヶ月間栽培した(6ヶ月後の最高草丈 30 cm).
目的品質優良でかつ薬理効果の顕著な,寒冷地栽培に適した薬用植物の育種ならびに栽培法の確立
材料(品種,系統,産地,由来)1927-1928年にドイツのミュンヘン植物園より導入され,ホッカイダイオウとして北海道大学農学部附属植物園で系統保存されているダイオウ(Rheum palmatum L.)の生育期(4-10月)の根頭部
外植片根頭部の芽部より摘出した0.2-0.5 cmの形成層部切片(茎頂)
初期培養基本培地はMurashige-Skoog(MS)培地、ショ糖30 g/Lとし、植物生長ホルモンを添加し、 pH 5.6 に調整した後、Shoot誘導用としては、 100mL広口三角フラスコに濾紙架橋を導入し、20 mLの培地を添加し、アルミホイルで蓋をした.分注後の培地は加圧滅菌(120℃、1.2 kg/cm2, 20分)した.培養条件は、温度21土1℃)、照度4,000 Lux (ニッポ蛍光燈30R、FSL 42, T6W)、16時間/日で照明培養した.30日後誘導されたshoot (single shoot) をそれぞれshoot 誘導に用いた同一量、同一組合せのホルモン含有培地に0.8%の寒天を添加した培地上に移植し、multiple shoot を形成した形成層部切片数の比を調査した.Shoot の形成は、 BAP+インドール酢酸(IAA)区ならびにBAP+NAA区にのみ認められ、他の実験区には形成されなかった.BAP 2.56 mg/L+NAA 8.0 mg/L添加ではシュート形成率80%であった.一方、BAP 2.56 mg/L+IAA 8.0 mg/L添加のシュート形成率は20-30%であった.、
シュート増殖増殖用培地はゲル化剤として寒天(0.9%) あるいはgellan gum (0.18%) を添加した後、ø4.0cm パイレックス培養瓶に20 mL注入し、アルミホイルで蓋をし、加圧滅菌した.初期培養において、NAAのshoot誘導率はIAAに比較して高率を示したこと、NAA はIAAに比較して水溶液中で安定なこと、ならびにIAA添加区のshootは微小かつ群生すること等から、NAA について詳細に添加濃度を検討した.Single shoot (基部にカルス層2-3mm付着)を移植し2 週間培養した結果、両生長ホルモンの至適濃度は、 BAP 7.68 mg/L、NAA 4 mg/Lであって,両生長ホルモンを上記のごとく添加した増殖用培地上2 週間後の増殖倍数は8-10であった.両ホルモンの低濃度区では増殖倍数、生育度ともに低下した.一方、高濃度区では明確な生長阻害を惹起した.さらにgel化剤として、寒天0.8%とgellan gum 0.18%を比較した結果、gellan gum使用区は、増殖倍数13-18倍を示し、生育度も寒天使用区に比較し優れていた.
発根発根用培地は増殖用培地からBAPを除去した培地を用いた.増殖培地上2週間増殖したshoot から、single shootを調製し、発根培地に移植し、3週間培養した.培養3週間後70-80%のshoot が発根した.未発恨のshoot は新鮮発根培地に移植し、3週間後にほとんどのshoot が発根し、両培養による発根率は100% を示した.さらにgel化剤として、寒天0.8%とgellan gum 0.18%を比較した結果、gellan gum使用区は根毛の発生度は著しく高かったが、根部の発生率、ならびに根部の生育は寒天使用区に比較し劣っていた.
馴化条件発根用培地で発根した幼植物は1か月培養後,温室に移し水洗してgel を除き,土嬢に活着させるため,市販ピートポット中,バミキュライトを用い3週間栽培し,根部を充実させた.
鉢上げ・定植引き続き市販培養土中6 か月温室で栽培した後,屋外に搬出し,直接栽培圃場に定値した.6ヶ月後、最大草丈30 cmに達し、土壌への活着率は95%であった.
栽培条件記載無し
再生植物体の形質晩秋期における生育度は、従来の栄養増殖法に比較し、同程度以上の生育を示した.
分析した成分
成分の抽出法
分析法
備考