植物名 | シャクヤク |
ラテン名 | Paeonia lactiflora Pallas |
文献コード | Paeonia_lactiflora-Ref-4 |
出典(著者,雑誌,巻号頁,発行年) | Jana S et al., Science International 1: 318-324 (2013) |
要約(和訳) | 観賞用及び薬用植物であるシャクヤクは、植物組織培養での増殖が困難である。組織培養中の主な問題点は、フェノール類の培地への放出で、それゆえに生育や発達が妨害される。発根は複雑なプロセスで、植物の栄養繁殖の主要なステップである。本研究の目的は、一般に複雑な発根過程を理解し、この植物を増殖させ多数のクローン植物を得ることである。方法:シャクヤク‘Hortensis’の地下茎の新芽を外植片とした。発根過程の生化学的な検討を行いながら、組織培養での増殖を行った。結果:シュート誘導、腋芽増殖、発根を達成した。 ‘Hortensis’のシュート誘導の最適培地は1/2MS培地(Ca2+が2倍濃度)+1 mg L-1 N6 benzyl-adenine (BA) + 0.5 mg L-1 Gibberellic Acid (GA)で、シュート誘導率100%、1外植片当りのシュート数6.2本であった。発根は、同様に1/2MS培地 + 1.0 mg L-1 Indole-3-butyric Acid (IBA)又は indole-3-acetic acid (IAA)で認められ、最も高い発根率(15%)は、培養シュートを10.0 mg L-1 IBAを添加したMS液体培地に5日間浸し、その後、植物ホルモン無添加の1/4MS培地で培養して得られた。結論:シャクヤク栽培種‘Hortensis’は組織培養での発根が困難である。発根前後のperoxidase、indole acetic oxidase、polyphenolic oxidaseの活性とフェノール性化合物含量を調べた。これらの酵素の活性とフェノール類は、発根において主要な役割を担うと報告されている。 |
目的 | 常に成長を続けている世界の生花市場に対応するための植物組織培養によるシャクヤクの増殖 |
材料(品種,系統,産地,由来) | シャクヤク‘hortensis’ |
外植片 | 春に採取したシャクヤク‘hortensis’の地下茎に形成した新芽(3-5 cm長、閉〜出芽) |
初期培養 | 採取した新芽は、Tween 20数滴を垂らし、水道水で10分間洗浄した。鱗片を剥いだ新芽を70% v/vエタノールに5分間浸したのち蒸留水で漱ぎ、1.5% (v/v) NaOClで5分間殺菌後、蒸留水で漱いだ。無菌状態で3-5鱗片を取り除き、70% (v/v)エタノールと1.5% (v/v) NaOClでそれぞれ5分間殺菌後、滅菌水で3回漱いだ。殺菌後の芽は全て培地 (1/2MSの無機塩類及びビタミン類、2倍濃度のCaCl2、3%ショ糖、植物成長調節物質(plant growth regulators :PGRs)、0.8%寒天で固化、0.1% w/v 活性炭、50 mL 培地/300 mL Magenta box, 1 bud/box, 25±2℃, 16 h photoperiod: 30 µmol m-2sec-1 PPFD)。‘Hortensis’の初期培養物誘導(シュート誘導と増殖)に対する giberellic acid (GA3)、N6-benzyl-adenine (BA)、Kinetin (Kin)、Indole-3-butyric Acid (IBA)、Indole-3-acetic Acid (IAA)の効果を調べた。表面殺菌方法は有効で、85%で無菌培養物が得られた。培地に植付後、15日以内に4-5葉のシュートが生育した。これらの芽では主茎芽と側茎芽が生育した。30日後、1〜数本のシュートがそれぞれの芽から生育した。最も高いシュート誘導率(100%)は 1.0 mg L-1 BA + 0.5 mg L-1 GA3で得られ、最も高い増殖率(6.2シュート/外植片)同じ培地で得られた。 |
シュート増殖 | 腋芽増殖のため、組織培養で得られた伸長したシュートを節部分から切り、新しい培地(1/2MS、1.0 mg L-1 BA + 0.3 又は 0.5 mg L-1 GA3)に移植した。GA3添加はシャクヤク培養シュートの誘導と伸長に非常に効果的であった。腋芽形成と成長にはBAとGA3の組み合わせを用いた。 |
発根 | ‘Hortensis’の発根に対する IBA又はIAAの効果を調べた。シュートは、IBA 又はIAA(0.5又は1.0 mg L-1)含有1/2MS培地(2倍濃度のCaCl2)に移植した。 IBA及びIAA含有1/2MS培地では良好な発根が認められた。MSの無機塩類を1/2濃度に減少させることは、発根の誘導に効果が認められた。しかし、おそらく長期間(30日間)の活性炭への暴露が原因と思われるシュートの萎れと葉の黄変が認められた。新しい発根処理、植物の短時間の高濃度のオーキシンへの暴露の効果を調べた。シュートは、10.0 mg L-1 IBAを含むMS液体培地に5日間浸したのち、植物成長調節物質無添加の1/4MS培地(0.1% w/v活性炭含有)に移植した結果、最も高い発根率(15%)、 根長(3.6 cm)が得られた。しかし、数日後に植物は黄変した。 |
馴化条件 | 適当な草丈と発達した根(根長3.0 cm)のシュートを市販の培養土で馴化した。しかし、5日以内に萎れて枯死し生存個体は得られなかった。 |
鉢上げ・定植 | |
栽培条件 | |
再生植物体の形質 | |
分析した成分 | |
成分の抽出法 | |
分析法 | |
備考 | |