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組織培養物及び効率的増殖法_文献

植物名シャクヤク
ラテン名Paeonia lactiflora Pallas
文献コードPaeonia_lactiflora-Ref-5
出典(著者,雑誌,巻号頁,発行年)Albers MRJ et al, Acta Horticulturae 314: 85-92 (1992)
要約(和訳)我々はボタン属植物のマイクロプロパゲーション法を開発した。表面殺菌した1節の外植片をLepoivre培地に置床した。雑菌混入率はシャクヤクでは22-100%のばらつきがあったが、ボタンでは無視できる程度であった。15 ℃、光強度35 µmol/s/m2、 明期16時間、7週間の増殖率は1.3-2.9であった。増殖率改善のため、幾つかの要因を検討した。いずれの要因もそれほど増殖率を上昇させなかった。唯一顕著な効果が認められたのは、低温処理のシュート長への効果であった。発根は、NAAよりもIAA又はIBAの方が良好で、最適濃度は約0.1 mg/lであった。暗所の発根の方が、白色光あるいは赤色光よりも良好であった。約50%の幼植物が馴化中に雑菌の汚染で失われた。雑菌に汚染されていない幼植物は良好に生育した。温室で1生育期間育てた初めの植物体は野外に定植した。
目的ボタン科植物のウイルスフリーストック又は新栽培種増殖のための迅速なマイクロプロパゲーション法の開発
材料(品種,系統,産地,由来)シャクヤク'Sarah Bernhardt'、シャクヤク'Karl Rosenfleld'、オランダシャクヤク(P. officinalis) 'Rubra Plena'、2種の無名のボタン(P. suffruticosa)栽培種
外植片シャクヤクの根茎に形成した芽
初期培養根茎は2-5 g/L benomyl(殺菌剤)で0.5時間浸した後、1-2 cm高の水を入れた、又は入れていないプラスチックトレーに入れて20℃暗所で培養した。2週間に1回、殺菌剤(0.5 g/L iprodion又はeupareen M)、抗生物質混合物(3 x 50 irg/L rifampicine, trimethoprim and chlorotetracycline)を散布した。出芽した芽より1.5-3 cm長の節切片を調製し、5-10分間水道水で濯いだ後、石鹸水(20-40 ml/l Burtan)で1分間、96%エタノールで1分間、水道水で1分間、数的のTween 20を加えた5%CaOClで10分間殺菌した。その後、滅菌した純水で3回濯ぎ、酸化防止のため、滅菌した ascorbic acid (10 g/l) + citric acid (10 g/l)、その後水で切り口を処理した。節は、1芽を含むように調製し、増殖用の固形培地(15 ml in culture tubes of 24 mm x 150 mm)に置床した。誘導培地には、抗生物質(20 mg/l rifampicine and 20 mg/l trimetroprim)を添加した。雑菌混入率は、Paeonia lactifloraとPaeonia officinalisは22-100%、Paeonia suffruticosaの2栽培種はほとんど雑菌の混入が認められなかった。
シュート増殖標準の増殖培地は、標準濃度のLepoivre macro-及びmicroelements、40 mg/L FeNaEDTA、1.0 mg/L thiamine-HCl、100 mg/L myo-inositol、0.5 mg/L nicotinic acid、0.5 mg/L pyridoxine-HCl、1 mg/L BAP、0.1 mg/L GA3、20 g/L saccharos、pH 5.5、agar 6 g/L、autoclaving (120℃、15分間)とした。外植片は15℃、光強度35 µmol/s/m2、16時間/日で培養し、6-9週間ごとに継代培養した。移植時は、長い葉を切り落とし、大きさに応じて1-4芽を含む切片を調製した。ほとんどの実験は、シャクヤク'Sarah Bernhardt'で実施した。 増殖率向上のため、温度、カイネチン、BAP、2IP、GA3、活性炭、液体培地、明期、糖、低温処理、少量のオーキシン添加、主要無機塩類濃度の効果を調べ、各処理少なくとも30切片を用いた。最終の継代サイクル時に芽の数の増加と増殖率(継代後の試験管数/継代前の試験管数)を決定した。培養前の低温処理(4℃)は芽の数には効果がなかったが、シュート長は10倍に増加した。増殖率は1.3-2.9であった。誘導直後、20℃と15℃、明所と暗所で比較すると、20℃では、4継代サイクルで、増殖率が2.7から0.6に減少した。一方、15℃では最低の増殖率が1.33であった。そこで、全ての継代培養は15℃で行った。他の試験した要因の全てが増殖率の増加に有意な効果が認められなかった。
発根発根培地は、植物ホルモン以外は増殖培地と同様とした。BAPとGA3の代わりにオーキシンを添加した。全ての外植片は4℃暗所で少なくとも4週間低温処理を行い、確かに休眠はしていなかった。同様の大きさ(2-4芽)の外植片を0.1、0.2、0.5、1.0又は2.0 mg/LのIAA、IBA又はNAAを添加した培地に置床し、始め2週間は15℃暗所、その後は照明下で培養した。発根率、発根した植物の発根数は2週間ごとに12週まで記録した。次の実験では、より広い濃度範囲のIBAを試験した。試験した他の要因は、低温処理期間、栽培温度、糖濃度、光の色である。2種の最も低い濃度のオーキシンが最も良い結果が得られた。最初の根は発根培地に移植して6週間後に認められ、10-12週後まで新しい根が形成した。IAA及びIBAでの発根は、NAAよりも良好であった。0.5mg/L以上では多くのカルスが形成し植物の品質が低下した。しかし、発根には低濃度のオーキシンが必要であった。IBAの最適濃度は約0.1 mg/Lであった。発根に対する低温処理期間、培養温度の効果は明確ではなかった。Saccharose 30 g/Lが最も発根率が高かった。暗所の方が、白色光及び赤色光よりも発根が良好であった。全ての発根実験で、最良の結果(発根率80%)は、標準培地、0.1 mgLl IBA、12.5℃、12週間で得られた。
馴化条件幾つかの発根試験で発根した幼植物を馴化実験に用いた。幼植物の2-3 cm長のシュートを切り戻し、20 g/L benomyl液に2-4分間浸した。その後、fertilized peat/sand (1:1) 又はpeat/perlite (1:1)の混合物を入れたプラスチックトレイに植え出し、透明なプラスチックカバーで覆った。栽培は、 5、10又は15℃、光強度45µmol/s/m2 (16時間/日)で行った。殺菌剤を1週間に2回噴霧し、汚染が認められた植物は廃棄した。2番目の実験では、温度の代わりに明期(8、12又は16時間)を変化させた。感染の割合を減少させるため、benomyl処理を少なくとも5分間に延長した。土壌移植後、50%以上の植物が感染により失われた。最初の3-4週間をpeat/ perliteで育てた方が、peat/sandで育てるよりも生育が良好であった。温度の効果は認められなかった。始めの3週間の明期の延長は、シュート長伸長と葉のサイズを増加させた。 馴化期間の延長とともにシュート長の違いは消失したが、葉のサイズの違いは維持された。感染していないシャクヤクは良好に生育し速やかに根も発達した。
鉢上げ・定植10週間後、温室内の0.75Lコンテナに移植し、6ヶ月後に1.5Lのコンテナに移植した。1生育期間後、野外に定植した。
栽培条件
再生植物体の形質
分析した成分
成分の抽出法
分析法
備考