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組織培養物及び効率的増殖法_文献

植物名シャクヤク
ラテン名Paeonia lactiflora Pallas
文献コードPaeonia_lactiflora-Ref-8
出典(著者,雑誌,巻号頁,発行年)Hosoki T. et al., Plant Cell Reports 8: 243-246 (1989)
要約(和訳)茎頂培養によるシャクヤク栽培品種"滝の粧"及び”Sarah Bernhardt”のクローン増殖手順を報告する。0.5 mg/l 6-benzylaminopurine (BAP) + 1 mg/l gibberellic acid (GA)含有1/2 Murashige and Skoog (MS)培地は腋芽の形成と生長を促進した。継続したシュート増殖は、36日ごとに、シュートを縦に分割し、引き続き、伸長した腋芽を分割することで行った。高頻度(57- 100%)の発根は、1 mg/l indole-3-butyric acid (IBA)含有液体培地を用いたペーパーブリッジ法で得られた。発根した幼植物の半数は、多孔質の土で活着した。このように、理論上、1個の芽から1年間で700及び300の”滝の粧”及び”Sarah Bernhardt”の植物体が得られるようになった。
目的シャクヤクの迅速な増殖
材料(品種,系統,産地,由来)シャクヤク栽培品種"滝の装い"及び"Sarah Bernhardt"
外植片初春の根茎の芽
初期培養数枚の鱗片を取り除き、薄めた次亜塩素酸ナトリウム液(有効塩素0.7%)で殺菌し、滅菌水で2回濯いだ。解剖顕微鏡下で小さな鱗片を取り除いた後、主茎の茎頂及び腋芽の茎頂(2-3 cm長)を切り取った。外植片は試験管(2 cm ø、15 cm長)内の寒天培地(0.8%、15mL)に植付けた。栄養培地は、1/2 Murashige and Skoog (MS)培地、Fe-EDTA、Ringe and Nitsch微量要素及びビタミン、3%ショ糖、pH 5.6とした。初期培養には、BAP (0.5 mg/l) + GA (1 mg/l)を植物生長調節物質として添加した。全ての試験管は 20 ºC、16時間明期(52 µEm-2S-1、 白色蛍光管)に設置した。切り取った茎頂は伸長し、ほとんどの節に腋芽が形成した
シュート増殖継代培養では、BAP (0.5 mg/l) + GA (1 mg/l)又は0.5 mg/l BAP添加のみを試験した。3 - 5の腋芽が付いた伸長したシュートを縦に切り二つに分割した。長いシュートの場合は、さらに横に二つに分割し、そうして四つの切片を得た。ここで、それぞれの切片は少なくとも一つの腋芽を含むようにした。そうでなければ増殖は起こらなかった。初代培養シュートからの平均シュート切片数(植付片数)は、"滝の装い"は3.8、"Sarah Bernhardt"は3.3であった。次の分割では、GA + BAP処理と0.5 mg/l BAP単独処理を行った。培養35日以内に、それぞれの切片から2 - 3 cm長のシュートが生育し、茎の根元に再び二次腋芽が形成した。両方の栽培種において、GA + BAP処理でがいくつかの腋芽が伸長し、枝分かれしたシュートのように見えた。今後は、増殖は腋芽の分割で行った。約33日後、両方の栽培種において腋芽は、新しい腋芽を伴い2 - 4 cm長に伸長した。再び、シュートの分割を行った。この継続した分割は、両方の栽培種において、腋芽形成能を失うことなく、36日周期で少なくとも5回の増殖が可能であった。分割したシュート数及び伸長した腋芽数は幾分、GA + BAP処理の方がBAP単独処理処理よりも多かった。BAP処理では、茎の下の方の節への多くの小さい腋芽の形成が認められた。これらの腋芽の塊は、形態的には圃場で生育した地下茎や根頭に形成した腋芽に似ていた。もしGA + BAP培地で36日ごとの分割を初期培養でのシュート伸長の期間(2 - 3ヶ月)も含めて1年間繰り返すと、理論的には、一つの芽から5000以上のシュートを得ることが可能であった。この数値は、同様なシュート分割法を開発したワサビでの増殖効率と同程度である。この増殖方法は、種子胚由来のカルスからの体細胞不定胚による増殖法よりもはるかに簡単でより実用的である。
発根発根のため、シュート(2 - 3 cm長)を0.1 mg/l 又は1 mg/lのNAA及びIBAを添加した寒天培地へ移植した。0.1 mg/lは、両オーキシンとも両栽培種において、わずか0 - 40%のシュートが発根し、一方、1 mg/lは40 - 80%のシュートが発根したが、3ヶ月以上を要した(データは示さず)。そこで茎の根元により多くの酸素を供給するため、液体培地を用いたペーパーブリッジ法を採用した。再び1 mg/lのNAAあるいはIBAを用いた。2ヶ月以内に"滝の粧"ではIBA処理のシュートの100%が発根し、Sarah Bernhardt""では57%が発根した。NAAではそれぞれ40%及び70%のシュートが発根したが、茎の根元にカルスが形成し、試験管外環境に移行した時の菌の感染による障害を引き起こした。IBA処理の発根した幼植物を、18- 20ºC、16時間明期(52 µEm-2s-1、白色蛍光管)環境下で多孔質の培養土へ移植した。半数以上が活着した。残りの植物は黄化した。このような不完全な活着は、根は培養中に下に成長するため、ペーパーブリッジ上へのシュートの引き上げが原因と思われる。従って、栄養分の吸収が不十分であったと思われた。このような問題は、給気を保ちながら根が培地へ浸透するように、約4 mm厚のガーゼ片をペーパーブリッジ上に配置することで解決する。試験管外環境へのより効果的な馴化を確立しなければならないが、我々は、シュートの縦割りと続いて腋芽の分割による商業的シャクヤク栽培種のクローン増殖方法を示した。
馴化条件
鉢上げ・定植
栽培条件
再生植物体の形質
分析した成分
成分の抽出法
分析法
備考