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組織培養物及び効率的増殖法_文献

植物名トウリンドウ
ラテン名Gentiana scabra Bunge,Gentiana manshurica Kitagawa
文献コードGentiana_scabra-Ref-1
出典(著者,雑誌,巻号頁,発行年)Huang S-H et al., Botanical Studies: 55:56 ( 2014)
要約(和訳)低い発芽率、限られた期間の休眠により種子繁殖が困難で、過剰採取により絶滅の危機に瀕している本種の効率的な植物組織培養による増殖法を報告する。試験管内で6週間生育させた頂芽を増殖のための植付け材料とした。多芽体(9.1シュート/植付け片)は、2.0 mg/L 6-benzylaminopurine (BA)、3%ショ糖、0.9% Difco Agar含有1/2 Murashige Skoog(1/2MS)培地で得られた。培養シュートは、0.1 mg/L 1-naphthaleneacetic acid (NAA)、3%ショ糖、0.3%ゲルライト含有1/2MS培地で多数の発根が生じた。組織培養時の閉鎖空間での2段階の換気と透過性の小袋の使用により、温室での生存率96%が得られた。植物組織培養で得られた植物は植木鉢に移植5ヶ月後に開花した。
目的簡便、効率的で高い生存率が得られるG. scabraの植物組織培養による増殖法の開発
材料(品種,系統,産地,由来)台湾糖業公司より得たG. scabraの培養植物体
外植片
初期培養
シュート増殖最初の実験で異なった濃度(1、1/2、1/4)のMS培地を用いたところ、1及び1/4濃度に比べ、1/2 MS培地において、より良好なシュート及び根の生育が認められたため、以降の実験は全て1/2 MS培地を用いた。2種のサイトカイニンのうち、BAの方が、kinetine (Kin)よりも効果的で、植付け片あたりのシュート数がより多かった。2.0 mg/L BA、3%ショ糖、0.9%寒天含有1/2MS培地で植付け片あたりの平均シュート数が最大(9.1/植付け片)の多芽体が得られ、1.0 mg/L BA培地(8.8/植付け片)がそれに続いた。BA及びKin濃度と誘導されたシュート長の間には負の相関が認められた。シュート伸長の平均値は、低濃度で高かった
発根培養シュートを、種々濃度の2種類のオーキシン(NAA、3-indolebutyric acid: IBA)含有1/2 MS培地で8週間すると、低濃度において、より良好なシュートの生育と発根が観察された。0.1 mg/L NAAは、0.1 mg/L IBAに比べ、より多くの発根数(NAA: 37.2、IBA: 25.8)及び新鮮重量(NAA: 1.55 g、IBA: 1.20 g)が認められた。高濃度のIBA及びNAA(1.0 mg/L)は、0.1 mg/Lに比べると、発根数、根の長さが劣った。台湾糖業公司から得た培養物に比べると、NAA 0.1 mg/L含有MS培地で誘導された根は本数が多く、剛健であった。1.0 mg/L NAAのMS培地への添加は、根やシュートの健全性や幼植物の馴化時の活着に望ましくない、カルスの誘導を引き起こした。 上記8週間の培養において、1段階換気法または2段階換気法の2種の換気方法を試したところ、培養中の根及びシュートの生育、馴化後の植物体の生存率も含め、2段階換気法の方が良好であった。1段階換気法、2段階換気法のそれぞれの方法内においても、有意な違いが認められた。 1段階換気法では、発根数(20.20)、根長(4.58 cm)、シュート長(2.23 cm)、新鮮重量、馴化後の植物生存率(94.44%)の最大値は、2AF8wk、即ち、2層のアルミホイルで培養器の蓋をして8週間培養、で得られた。アルミホイルとは対照的に、2、3、又は4層のディスペンスペーパー(DP)で培養器の蓋をして培養すると、全体として根及びシュートの生育量が低下した。3種のDP処理間では、発根数(18)、根長(3.78 cm)、シュート長(1.51 cm)、新鮮重量(0.94 g)、馴化後の生育率(91.67)は、4DP8wk、即ち4層のDPで培養器蓋をして8週間の培養、で得られた。4H2AF8wk、即ち、2層のアルミホイルの中央に4個の穴をあけて透過性のテープで覆ったもので培養器の蓋をして培養、は根及びシュートの生育量ならびに馴化後の生存率に特に影響は及ぼさなかった。4通りの2段階換気法間では、発根数(33.7)、根長(5.89 cm)、新鮮重量(1.41 g)、馴化後の生存率(96%)の最大値は、2AF4wk/4DP4wk、即ち、最初の4週間は2層のアルミホイルで、その後の4週間は4層のDPで培養器の蓋をした処理で得られた。
馴化条件種々換気条件下での8週間の培養後、植物体を注意して培養器より取り出し、水道水で優しく洗い寒天を取り除いた。植物体はペーパータオル上で水分を切ったのち、新鮮重量、シュート数、発根数、根長を計測し記録した。その後、植物体を0.1%ベンレート液(防カビ剤:DuPont, Wilmington, DE)で短時間処理後、混合土(ピートモス:パーレイト:バーミキュライト=2:1:1、容量比)を入れたプラ鉢に移植した。馴化のため、個々の鉢植えは、透明なポリエチレン袋で覆った。1週間後、袋上部の一方の角に小さい穴を開け、2週間後にもう一方の角に小さい穴を開けた。3週間後、上部の両方の穴から切り込みを入れて開き、4週間後に袋を完全に取り除いた。その後は、大学の温室に移した。植物は毎日水道水で潅水した。それぞれの換気処理方法に対する生存率は2ヶ月後に測定した。1段階法と2段階法では、概して2段階方の方が高い生存率(90-96%)を示した。生存率の最高値(96%)は、2段階法の2AF4wk/4DP4wk、即ち、初めの4週間は2層のアルミホイルで培養器の蓋をし、その後の4週間はアルミホイルよりも通気性の良い4層のdispense paperで蓋をして培養、で得られた。馴化直後4週間は透明なポリエチレン袋で覆い、徐々に環境に馴らすことにより高い生存率が得られた。温室内の植物組織培養で増殖した植物体は、鉢に移植後5ヶ月で開花した。
鉢上げ・定植
栽培条件
再生植物体の形質
分析した成分
成分の抽出法
分析法
備考